会員権の持っているシネコンでは上映が終わっていたので、もうロードショー落ちをしていると思っていましたが、早く仕事が終わったので、何かないかなと会社の帰りによる映画館の上映スケジュールを見ていたら、見たかった『K-20』が、ちょうどレイトショーで1日1回だけ上映していました。
ゆかいなおっちゃんの映画日記-k-20
『K-20』Amazonより


ロードショー落ち寸前、しかもレイトショーということもあり、完全に私一人の貸し切り状態の贅沢。大満足でした。

映画の方も、エンターテイメントとしは非の打ち所のない映画と言えば言い過ぎでしょうか。

とにかく第二次世界大戦のなかったもう一つの世界という別次元に話を持って行く事で、一気に映画の世界観を作ってしまいます。

あの奇才ティム・バートンのバットマンに匹敵する世界観。
リアリティを残しつつ、けれん身の効いた独特の世界ですね。

それは1949年にして、テレビ放送や、東京タワー、高層ビルに小型のヘリなど、時代考証は無視した、子供の空想力と冒険心をくすぐる独自の世界です。

そこにあるドラマもギュッと中身の詰まったものです。

固定化された階級社会、富の偏在、といった大きなものから、普段たよりない浪越警部の囚人に対する高圧的且つ、外部に対する狡猾さを併せ持つ二重性だったり、何不自由なく育ったお嬢様の自分の人生への疑問だったりという、個々の登場人物の掘り下げといった小さなものまで、しっかりと描かれていて、それぞれがポイントポイントでキッチリ絡み合って退屈させません。

アクションにしてもALWAYSのスタッフという日本最高水準のCGスタッフを擁しながら、肉体のみにたよる骨太のもの。CGはCGで徹頭徹尾リアルな帝都を描くのに使われている贅沢さ。

貴族の子女と怪人二十面相に騙されたサーカスの団員の禁断の恋(しかも貴族の子女は明智小五郎のフィアンセ!)もエピソードに織り込みながらクライマックスへ一気です。

演じる俳優陣も素晴しいの一言。

まずは金城武。
彼の場合、ハーフ(だっけ?)のせいか、多少オーバーぎみな演技が鼻につくときがあるんだけど、この映画ではシャイでぶっきら棒な平吉役だけあって、鼻につくような場面は逆に笑いを取る演出に転じてハマり役でした。

次に貴族の子女の松たか子と明智小五郎@仲間徹。松たか子さん演じる羽柴葉子は、育ちの良さととぼけた感じとと芯の強さとを併せ持つ活動的な女性で、他に演じられそうなのは若手では綾瀬はるかさんくらいでしょう。けど綾瀬さんは松さんと比べるとちょっとあか抜けない。明智小五郎役に至っては若手では思いつく人がいない。確かに、松たか子さん、仲間徹さんはちょっと薹が立っていますが、あのキャラクターは他に演じられる人はいないでしょうね。

そしてこの映画を締めるのはこの映画を支えていると言っても良い國村隼さん。主人公金城武を相方に、絶妙の間と風格で金城をもり立てます。忘れてはいけない小林少年@本郷奏多くん。彼の不適な笑みは本当に小憎らしい。他にも上げればきりがないほど俳優陣が楽しんで映画を作っている感じでした。

是非とも、続編を期待したいとても楽しい映画でした。


最後まで読んでくださったあなたに、全ての良き事が雪崩のごとく起きます。