石神の慟哭!
容疑者Xの献身 , 堤真一 , 松雪泰子
仕事が一段落したので、帰りに『容疑者Xの献身』を見てきました。
原作を読んだ時の感想はこんなにも美しく残虐で切ない物語は
他に知らないということでした。
この場合、私の言う美しさは、物語の精緻さと主人公の献身。
純粋に人を想い、その人を助けるためにどんな犠牲もいとわない
合理的思考が導きだした結末は、また人の心によって無惨に終わってしまう。
その想いが常識的な尺度では測れないほど強いものだから 余計に悲しい。
映画のキャスティングでは原作に出てこない柴咲コウちゃんが出てくるし、
主人公の石神(この映画、この原作では間違いなく主役は石神です)を
堤真一が演じるので(かっこ良すぎる)、この無惨さ悲しさが
だせるのかとても不安でした。
さらにテレビシリーズの映画化って、たいていの場合、
派手にすればいいやって感じの「金のかかった2時間ドラマ」って
レベルの作品が多いので、それも不安でした。
しかし、そんなことはぜ~んぶ杞憂でした。
この映画は映画館で見なければなりません。
映画館という日常から切り離した空間で見るからこそ、
あのじっくりした演技を堪能できるんだと思います。
DVDで見たら、否が応でも画面の周りに散らかっている日常が目に入って、
この映画の控えめな演出が退屈なものになってしまう可能性があります。
それに映画館の暗さを利用した最後の電話のシーンとか、
ちょっとしたことなんだけど、映画館だからこそ
観客に感じさせることができるものがあると思う。
とにかくね、石神@堤真一が素晴しい。淡々とした演技が
ラストのあの咆哮とも言える慟哭に繋がってて、気がついたら涙がでてました。
それと靖子@松雪泰子さんも素晴しかった。
あのダンカンとクリスマス(?)の夜のシーン。
あんな演技ができる人なんだ。正直驚いた。
それに、石神の回想シーンで出てくる松雪さんの美しいこと。
原作では、自殺願望のある主人公が隣に越してきた女性に惹かれて
生きる気力を得るくだりが、ちょっと弱かったんだけど、
映画ではあのワンカットだけで理解できてしまう。
それだけに湯川が靖子に推理を語るシーンで、
事実を知った靖子を是非演じてほしかった。
それにあのガリレオの「あなたは真実を何もしらない」
って台詞を入れてほしかった。
トリックを解くのを最後まで引っ張りたいなら、
湯川の台詞をカットして(事実映画ではカットされている)
靖子が推理を聞いた直後のシーンをつなげばいい。
そうすればラストの石神の慟哭と対をなして、
もっと余韻の深い映画になったと思う。
さらに最後の大学でのシーンと字幕時の背景に映っているシーンは不要。
あんなとこで説明せずに、ズバッと切って終わった方が余韻があっていい。
あと、控えめな演出の長めの映画だから、
中だるみを恐れたんだろうけど、あの山のシーンは全くいらない。
その分、ちゃんと靖子と娘の関係を描いた方がよかった。
結局、靖子側の動機もそこにあるわけだから。
とまぁ、いろいろ苦言を書きましたけど、
本当に凄い演技を見せてもらいました。
予算をかけず素晴しい映画が撮れる証明ですね。
原作の方も短編集『ガリレオの苦悩』が出たし、
同時に2作目の長編『聖女の救済』もでたから、
またテレビシリーズをやって、もう一度映画って話になるかもね。
容疑者Xの献身 , 堤真一 , 松雪泰子
仕事が一段落したので、帰りに『容疑者Xの献身』を見てきました。
原作を読んだ時の感想はこんなにも美しく残虐で切ない物語は
他に知らないということでした。
この場合、私の言う美しさは、物語の精緻さと主人公の献身。
純粋に人を想い、その人を助けるためにどんな犠牲もいとわない
合理的思考が導きだした結末は、また人の心によって無惨に終わってしまう。
その想いが常識的な尺度では測れないほど強いものだから 余計に悲しい。
映画のキャスティングでは原作に出てこない柴咲コウちゃんが出てくるし、
主人公の石神(この映画、この原作では間違いなく主役は石神です)を
堤真一が演じるので(かっこ良すぎる)、この無惨さ悲しさが
だせるのかとても不安でした。
さらにテレビシリーズの映画化って、たいていの場合、
派手にすればいいやって感じの「金のかかった2時間ドラマ」って
レベルの作品が多いので、それも不安でした。
しかし、そんなことはぜ~んぶ杞憂でした。
この映画は映画館で見なければなりません。
映画館という日常から切り離した空間で見るからこそ、
あのじっくりした演技を堪能できるんだと思います。
DVDで見たら、否が応でも画面の周りに散らかっている日常が目に入って、
この映画の控えめな演出が退屈なものになってしまう可能性があります。
それに映画館の暗さを利用した最後の電話のシーンとか、
ちょっとしたことなんだけど、映画館だからこそ
観客に感じさせることができるものがあると思う。
とにかくね、石神@堤真一が素晴しい。淡々とした演技が
ラストのあの咆哮とも言える慟哭に繋がってて、気がついたら涙がでてました。
それと靖子@松雪泰子さんも素晴しかった。
あのダンカンとクリスマス(?)の夜のシーン。
あんな演技ができる人なんだ。正直驚いた。
それに、石神の回想シーンで出てくる松雪さんの美しいこと。
原作では、自殺願望のある主人公が隣に越してきた女性に惹かれて
生きる気力を得るくだりが、ちょっと弱かったんだけど、
映画ではあのワンカットだけで理解できてしまう。
それだけに湯川が靖子に推理を語るシーンで、
事実を知った靖子を是非演じてほしかった。
それにあのガリレオの「あなたは真実を何もしらない」
って台詞を入れてほしかった。
トリックを解くのを最後まで引っ張りたいなら、
湯川の台詞をカットして(事実映画ではカットされている)
靖子が推理を聞いた直後のシーンをつなげばいい。
そうすればラストの石神の慟哭と対をなして、
もっと余韻の深い映画になったと思う。
さらに最後の大学でのシーンと字幕時の背景に映っているシーンは不要。
あんなとこで説明せずに、ズバッと切って終わった方が余韻があっていい。
あと、控えめな演出の長めの映画だから、
中だるみを恐れたんだろうけど、あの山のシーンは全くいらない。
その分、ちゃんと靖子と娘の関係を描いた方がよかった。
結局、靖子側の動機もそこにあるわけだから。
とまぁ、いろいろ苦言を書きましたけど、
本当に凄い演技を見せてもらいました。
予算をかけず素晴しい映画が撮れる証明ですね。
原作の方も短編集『ガリレオの苦悩』が出たし、
同時に2作目の長編『聖女の救済』もでたから、
またテレビシリーズをやって、もう一度映画って話になるかもね。