瞬間移動(テレポート)の超能力をモチーフにしたSFアクション『ジャンパー』

ですが、なんですよ。

時間も90分程度の短い映画なので、人物を掘り下げてどうこうというような映画でなく、
見たことも無いような映像(瞬間移動を真っ正面から映像化しましたって感じ)と
アクションを楽しむ映画なのだと思うのです。

ですが、なんですよ。

素直に楽しめないんですね。
なぜなら、主人公が中途半端にリアルだから。

せっかく得た瞬間移動という才能を、自分のためだけに使うわけですよ。

立ち入り禁止区域に入るのはあたりまえで、銀行から金を盗んで贅沢するわ、
TVの災害現場を鼻で笑って決して人助けをしないわ、気分の悪いガキです。

敵に命を狙われるようになって、主人公が散々「自分は人を傷つけてない」
みたいなことを平気でわめくんですけど、人の財産かすめ取っておいて、
なにを甘えたことを言うとんねんという感じで、ただの泣き言にしか聞こえない。

いや、確かにそんな能力を身につけたら、私利私欲のために使うでしょう。

だから多少リアルかもしんないんだけど、人間多少の善意は残しておきたいと思うもんで、
TVの災害現場を鼻で笑うようなことはしないでしょう。

普段、その能力で恩恵を被っているのならなおのこと、
多少は恩返しというか、公のために使いたくなるんじゃない?
全くそれがないのはどうかと思いますねぇ。

で、当然、そんな輩を野放しにはしておけないってことで敵さんが出てくるんですが、
この人たち、ジャンパーと呼ばれる超能力者を目の敵にするだけでなく、
関わった人たちも殺してしまうというちょっとやり過ぎ感があるわけですな。

だからこっちにも感情移入できないんですよ。

当然そのバトルもどっちが正義ってわけでもないし、
どっちかを応援したいって気持ちにもならないわけです。

だもんで、映像の面白さとかは見ていて飽きないんだけど、
主要登場人物に感情移入できないだけに、楽しめないんですな。

なんか設定が面白いだけにちょっともったいないですね
『ジャンパー』は。