【第165回国会 教育基本法に関する特別委員会 第13号(平成18年12月13日12月13日(水曜日))】
参考URL:http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/015816520061213013.htm#r=s&r=s

内閣官房副長官      下村 博文君
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石井(郁)委員 さらに、二〇〇五年の五月には、下村氏を資金的に支援する全国ネットワーク、博友会、これは塾や株式会社学校などでつくられているようですが、完成しているんですね。二〇〇六年の三月にその博友会の全国合同記念パーティーが開かれているということがわかっていますが、これは本当に近畿、中部、四国、九州沖縄、北海道東北、神奈川、埼京など八つの博友会が結成されているわけです。その資金管理団体である地元の博文会の会長が、直接票につながらない博友会は資金の援助をする、そして我々博文会は票の取りまとめという役割になろうというあいさつをされています。

 実際、博文会の政治資金収支報告書を見ると、博友会から二〇〇一年には一千万円、二〇〇二年には千二百万円、二〇〇四年には千六百万円、合計三千八百万円を寄附という形で受け取っていますが、これも事実ですね。


下村内閣官房副長官 報告をしてあるとおりでございます。

石井(郁)委員 確認させていただきました。

 そこで、総理に伺いたいと思います。

 この全国合同記念祝賀パーティーには総理も出席されていると思います、官房長官のときだったかと思いますが。参加をして、あいさつをして、エールを送っておられます。その中でこのように述べていらっしゃいます。全国規模で下村さんの支援団体が誕生したことを心よりお喜び申し上げます、教育基本法の改正などしっかり取り組んでくれると思いますということですが、このような株式会社、塾など民間教育産業と結びついて資金援助団体としている、こういうことを知っていて、今日、安倍内閣のもとでこの下村氏を官房副長官に任命されたんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 先ほど下村副長官が答弁をいたしました。下村副長官もかつては、塾の経営も含めて、子供の教育に現場で取り組んでいた一人です。そして、その仲間もたくさんいるわけでありますし、そういう現場に対して理解ある議員を国会に送り出したいという方々の善意による御厚志をいただきながら政治活動を続けているわけでありまして、我々政治家は皆この政治資金による支援をいただきながら政治活動を行っているわけでありまして、要は、しっかりと適法にそれを処理しているかどうかということにおいては、適法にちゃんと処理をしているということであり、私は全く問題がない、このように思っております。

石井(郁)委員 そうでしょうか。民間教育団体からこのような資金を受けていますが、ただ単に資金を受けているということじゃ済まないんですね。

 下村氏は、民間教育は今がビッグチャンスだ、教育改革はビジネスチャンスにしなきゃいけない、こういうことをあおっていらっしゃる。これは塾関係の雑誌でたびたびお書きになっていらっしゃるわけですね。だから、株式会社や民間塾団体を特区に参加させる。そのことを、これは二〇〇四年の予算の分科会では、構造特区の全国展開を早くしなければという質問も行っているわけです。

 だから、教育改革をビジネスチャンスだと宣伝をする、業界に宣伝をして、そのビジネスチャンスに参加した企業から献金をもらう、こういうことが許されるでしょうか。これは収賄あっせんではありませんか。総理、お答えください。

安倍内閣総理大臣 かなり論理に飛躍があるのではないか、このように私は思います。

 下村副長官は従来から教育問題に熱心に取り組んでまいりました。教育改革が必要であるという認識においては私と全く同じでございます。そして、いわば塾経営を通じて子供たちを教えていく現場に身を置いた者の一人として、いろいろな改革が必要だろうと考えたのではないだろうか、このように思うわけであります。この改革の中でいろいろな方々が教育に参加をしてくれるということは、教育を改革していく、再生の上においては有意義ではないかという考えを恐らく披瀝したのではないか、このように思います。

 いずれにせよ、そうした方々からの献金については、すべて下村副長官はオープンにしながら、法令にのっとって処理をしているわけでありまして、問題がないということではないかと思います。

石井(郁)委員 下村副長官は、教育バウチャーによって株式会社に補助金を、こういうことを実現しようとされている。このことは経過から見ても明らかなんですね。

 申し上げましたように、二〇〇六年十月二日には、下村氏が顧問の学校設置会社連盟、ここのイコールフッティング委員会というところが教育バウチャー制度の提言というものも行っています。私は、今、特定の利益団体のために教育改革をビッグチャンスだということを宣伝して、さらに教育バウチャー制度をそのために実現するということがされようとしている。まさに安倍内閣のもとでの教育再生会議、その大変重要な位置にある下村副長官ですから、言ってみれば、教育再生会議などを利用してこれを実現しようとしているのではないかというふうにも言わざるを得ないわけですが、関係団体や利益団体から献金を受けているということは明らかなんですから、こういうことが許されるか、あっていいのかということをお尋ねしているわけであります。

 いかがですか。これは総理に。

安倍内閣総理大臣 私の考えは先ほど申し上げたとおりでありまして、下村副長官はかつていわゆる塾の経営を通じて子供たちの教育に携わる立場にいたわけでありまして、このように教育の現場にいた、あるいは教育について熱心に取り組んでいる人を応援しようという方々が、それは余り大きな金額ではないだろうと思いますが、それぞれの認識において、下村さんも広く薄くということを言っています、そういう中において、いわば貧者の一灯的な思いで多くの方々が献金をしておられるのだろう、このように思うわけであります。

 要は、そうしたものを適切に処理していくことが大切であり、それをオープンにしているわけでありまして、それは問題がないと私は認識をしております。