後援会組織「博友会」をめぐる「政治とカネ」問題で連日、国会で火ダルマ状態になっている下村博文文科相。5日の衆院予算委でも疑惑を追及され、「(組織が)政治資金を直接提供していることもない。講演料や車代も直接受け取っていない」などと相変わらずの答弁だったが、逃げ切れると思ったら大間違い。週刊誌で「博友会」の実態を実名告発した女性が5日、名古屋市内で会見を開き、涙ながらに「下村のウソ」について語った。

 弁護士同席の下で“涙の告発”会見を行ったのは、名古屋市で通信制のサポート校経営や化粧品開発などを営む鈴木文代さん(60)。下村の違法献金疑惑の発覚後、学校などに取材や問い合わせが殺到したために業務に支障が出るようになり、急きょ、会見を開くことにしたという。

 疑惑の核心は「博友会」が果たして下村文科相が釈明する通り、「任意団体」であり、下村文科相や事務所の関与が本当になかったのかだ。これに対し、鈴木さんは下村文科相の主張を明確に否定した。例えば「中部博友会」の幹部だった鈴木さんが10年4月に別組織の「若手博友会」を立ち上げた際、下村事務所と年会費について相談している。「中部博友会」の年額4万8000円は負担が重いとして、年額3万円に減額することを決めたというのだ。

 鈴木さんは「毎年2~3月ごろに(おのおのに)会費の請求書が届き、振込口座も指定されていた」と証言。鈴木さんには「若手博友会」立ち上げ以降も当初、4万8000円の請求があったため、あらためて下村文科相の議員会館事務所に電話し、3万円に訂正するよう求めたという。

■総額も使途もブラックボックス

 下村文科相は国会で「会費ではなく献金」なんて答弁しているが、これも大ウソ。鈴木さんの手元には、「年会費」とただし書きされた「自民党東京都第11選挙区支部」の領収書(3万円)がきちんと残っているのだ。毎年、定期的にカネを集め、政党支部から領収書が出ている団体のどこが「任意」なのか。

 さらに「若手博友会」が主催した下村文科相の講演会では、年会費とは別に出席者が5000円ほどの昼食代を負担し、下村側の負担はゼロだったという。

 一体、下村事務所は何のために巨額の「年会費」を集めていたのか。カネがいくら集まったのかも、使途もまったくのブラックボックスではないか。ウラ金になっていると疑われても仕方がない。こうなると政治資金規正法違反では済まない問題も浮上する。

「実際は『寄付』だったのに、払っている側は『会費』と思っていたわけで、税務上の『寄付控除』も申請していない。集めたカネもどうなっているか分からない。とすれば、払っていた側の勘違いや錯誤ではなく、集めていた側の『詐欺行為』も成り立つのではないか。今後、年会費を払った会員が『献金はしていない。カネを返せ』と訴訟を起こす可能性も否定できないでしょう」(司法ジャーナリスト)

 かつて「博友会のマドンナ」と呼ばれ、講演した下村文科相に直接、封筒に入れた10万円のカネを手渡ししたと明かした鈴木さん。会見の最後には下村文科相に対し「大臣に恥じない行動を取っていただきたい」と訴えていた。この叫びを下村文科相はどう聞くのか。

参考URL:http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/157829