16時間という長丁場の会談はタダでさえ体力を消耗する。

途中で東欧美女が運んで来たサンドウィッチを、窶れた仏独の首脳を横目に勝ち誇ったかの様な余裕の笑みの表情で差し出すプーチン大統領の姿が浮かんで来そうだ。会談の総決算である会見の先頭を切ったのは、普段から肉体維持に余念の無い元KGBエリートのプーチンその人であった。冒頭から記者との雑談を笑顔を見せ、ここぞとばかりに長時間会談の疲労の様子を見せないその姿を、ロシア国内はもとより海外のメディアに対して見せつけるその姿は、まさに戦前のムッソリーニを彷佛とさせるものがある。健全な精神は健全な肉体に宿る。アーリア人のスローガンであるそのフレーズはスラブ民族を代表して彼にその矛が与えられたかの様に旧ソ連諸国へ見せつけた。

翻って無惨だったのが仏独の首脳の窶れぶりである。メルケルとオランドの並んだ姿はお世辞にもミレーの農夫の姿とも言えない程哀れであった。会談の内容にも満足のいくもので無かったばかりか、プーチンの華々しい外交プロパガンダに比べれば、英国離脱も囁かれ外相会談では2つの強硬案が示されず、ギリギリでIMFからの支援をEU経由で示すのが精一杯という、全てにおいてロシアに押されている姿が晒されたのだ。EUの盟主である仏独の首脳が雁首並べてこの醜態である。

ウクライナ国内にはタダでさえネオナチの拡大の気運が満ち満ちている最中、強い指導者を信奉するスラブ民族の人々にとってすれば、いったいどちらが頼るべき姿と映ったのか、それは万人の二言を待たないところであろう。