民主党時代に大バッシングを受けた「日本は日本人だけのものではない」というスローガンが、今は安部政権の下で検討されているが、その事に保守派何故か沈黙を続けている。安部政権と心中する覚悟があれば、全て真意があると信じ都合の良い解釈にしたがるだろうが、残念ながら日本の宰相にはさほどの自立性は保障されていない。せいぜい公道を赤信号無視で警視庁の護衛の下突っ走れる爽快感を味わえる程度である。

2000年にアメリカにおいて補充移民政策が世界規模で打ち出されたが、その中に日本も入っており、この仕組みには当然日本も組み込まれている。対財務省政策を重視する為、現在の官邸は従米官庁の経産省の管轄になっている。その為、90年代には約5人が高齢者1人を支えていた構図が更に下降し、今後その率が回復する事は、当初の推計どおりありえないことが判明している。

2050年代における日本の人口比率が90年代水準を維持する場合に必要な移民は毎年1000万人規模という恐ろしい数値をたたき出している。これは乳児死亡、死産に加えて死亡者数の増加が出生を上回り、普通死亡率が今後急激な上昇傾向を画く事が確実視されている現実がそこにはある。

一説によると日本の限界寿命は115歳程度であるとされるが、今後の医療負担の軽減と共に社会的な問題を背景とした死亡者数に加えて、医療技術の発展と平行し医療改革により弱者への保障をカットする事で意図的な人口調整も行われる事も考えられる。

若者に加えて移民による高齢者負担の補填を行う事が。厚生労働省の指針で明らかになっているが、ここで問題なのは労働力人口の変動である。富裕層による補填は労働力人口の補填にはならず、加えて今後減り続けるであろう労働力人口の低下は、女子の労働参加率の変動と合わせて推移してきたが、近年ではこの女性労働力の活用を政府の肝いりで推進させている。

女性プロレタリアートの活用に加えてペレストロイカはこの道しかない、と言う言葉を安部総理から聞くに至ると、この日本はソ連なのかなんなのか良く分からなくなってくる。

80年代後半から男女雇用機会均等法により男子に比べて低水準だった女性の賃金も男性との格差は近年改善されてきていたが、ココに来て、全体的に下がる傾向にある。正社員の給与を削減する事により派遣やアルバイトの賃金を上げる縮図である。給与変動が自由化される正社員の方が、アルバイトよりも奴隷化しやすいという、奇妙な構図が出来た。

加えて人口の減少は更にこれに拍車をかける。国民総生産力を少なくとも90年代のレベルを維持する為には、今後毎年40万~60万の労働移民を受け入れる必要が今後出てくる。

生活の安泰を確保した上で国民へ自主的出生率の上昇を促す政策を取れない政府には、社会保障を削減する状態で労働力を上げる為、ナチの様に強制労働所を設けるほか無い。さもなくば、アメリカの様に安価な奴隷移民を受け入れる制度を確立する事である。

低教育の日本人は安定した就労が出来ない為に、出生を躊躇い、もし自らの生活水準を超える家庭を作った場合には自己破産し、無戸籍児童の増殖を招く。上級中流層もしくは富裕層は男女共に潤沢な教育費をかけ識字率を向上させるが、女性の識字率の向上はそのまま社会における出生率の低下を社会構造的に生む事になり、結果的に日本女性の出産率は低下していく。

その際、日本人は次第に日本本土ではマイノリティー化し、無知蒙昧な移民労働者の繁殖率と日本国籍を有する権利を持つ子供の増殖率に対応しきれなくなる。米国の様に国家元首をマイノリティーのままでいいのかという議論も数十年後には出てこないとも限らなく、憲法改正はそのまま大統領制への移行も視野に入って来ざるをえない。

セーフティーネットや社会保障というのは、そういう長期的な意味での国を守っていく制度そのものなのだが、残念ながら今の政府の指針は全てが悉く瓦解している。国内農業民はTPPによって海外産に駆逐され、日本の耕作地は今後50年以内に半分以下になるという予測もある。その際、食料自給率は20%台を保てるかどうかである。