米フィラデルフィア地区連銀のプロッサー総裁は20日、米景気が勢いを増す中、連邦準備理事会(FRB)はインフレ対応で遅れを取らないよう、「遅いよりは早い時期の」利上げ開始が必要となる可能性があるとの見解を示した。

プロッサー総裁は講演原稿で、景気が拡大し、雇用市場の改善が継続する中、現行の超緩和的な金融政策を維持すれば、FRBはインフレ対応で「後手に回る」リスクがあると指摘した。

第1・四半期の米国内総生産(GDP)速報値が精彩を欠く内容となったものの、今年の成長率は3%に達するとの見通しを示し、米経済は総じて「回復が始まってから、最も堅固な足取りで推移している」と述べた。

そのうえで「インフレ率が目標の2%に向かって上昇し、雇用情勢が改善する中、FRBは適切に政策を調整する用意を整えるべき」とし、「遅いよりはより早い時期に利上げを開始する必要が出てくる可能性がある」と言明した。

プロッサー総裁は、今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持つ。

プロッサー総裁はFRBが長期間にわたり超緩和策を維持することでインフレが抑制されなくなるとの懸念をこれまでも強く表明。FRBは毎月の資産買い入れ額を継続的に縮小させており、今秋には終了させる考えだが、これについて同総裁は「正しい方向」に向かっていると述べた。

ただ、FRBや他の主要中銀が2008年の金融危機に対応するために「非常に介入的な」役割を果たしたことが慣習的になっているのではないかと懸念を表明。状況が正常化するにつれ、FRBを含めた主要中銀は金融政策を正常化させる必要があるとの考えを示した。

参考URL:http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0E01XB20140520