アメリカのタバコ事情

　間もなくパラリンピックが開かれるこの時期に、日本テレビにて愛は地球を救う２４時間テレビが放送される、意図的なシンクロニシティー。そんなまだまだ目を向けなければいけないロンドン五輪の英国では、今でこそ種悪の根源になっているたばこだが、昔はジェントルマンの嗜みで、紳士貴族の間で煙草の成分にもうるさい人々が多かった。昨今のブリテン系のブルジョアにとっては、葉巻きは言わば欠かす事の出来ない大人の嗜みといった感のあるアイテムなのかもしれない。そんな煙草だが、現実の社会では今ますます肩身が狭いものとして、隅に追いやられて、日陰の存在になっていっている。最近ビートルズのレコードジャケットの喫煙問題に絡みパイプがトレードマークだったシャーロックホームズからも、その姿は消えた。

　アメリカ連邦控訴裁判所は喫煙の危険性を警告する写真を、煙草の箱に表示することを義務付けるのは違憲との判断を下した。禁煙で知られるアメリカで、これは意外なように思えるかも知れないが、ちょっと昔の映画を観てもらえれば直ぐに分るが、葛てのハリウッドでは無理矢理に男優や女優に喫煙を迫る風潮があり、多くの映画には喫煙のシーンが欠かせなかった。それどころか、禁煙家の俳優／女優にも形だけもと喫煙の場面を撮る事もしばしばで、保守派の勢力増加と平行して愛煙家が勢いを盛返して来ているのが現状のようだ。

　煙草やコーラ等、体に悪いものは違法ドラッグであれなんであれ、コーヒーや紅茶に至るまで、全て悪い物は悪い。不飽和脂肪分の取り過ぎが体に良く無いからと言って、肉屋を規制する事は出来ない。結局、最終的に求められるのは消費者個人の見識と自己責任なのである。