戦後の日本は自然を破壊し尽しながら数々の開発計画を押し進め、失われた自然の上に敷かれたコンクリートの上に生活と生命の育みを享受してきた。都市圏への人口増加から新興住宅地開発や新産業都市と工業整備地区の乱開発によって、採算の取れない無駄な道路建設や宅地開発整備も広い目で見れば、人口の一極集中による人々の生活構造も変化させた。労働者階級による結婚率や出産率のそれとは別に、都市型社会人における今の男女の多くは、結婚や出産をどれほど本気で考えているのだろうか?

 嘗ては、社会人であれば結婚はお見合いによって行われるのが普通であった。核家族化の促進防止にもなり、親戚や職場の上司等の仲人によって、一種の全体的な社会的連帯感をも持って、それら社会人の夫婦の結婚は形作られていった。しかし、恋愛による結婚願望が急速に高まり、自我の発達と束縛に反抗する自由意識が手伝って、仲人によるお見合い結婚は今では非常に稀になった。変わって登場したのが結婚診断等のサイトバナーが乱発されているように、民間事業による仲人の民間委託で、一種の福祉介護民営化的な側面もあるのかもしれない。もっとも、この記事は別に婚活会社の勧誘でもなんでも無いので、そこはスルーする。(笑)

 さて、老後介護等の心配から中年男性の結婚詐欺被害等も近年では急増しているが、そもそも論として女性の平均寿命の方が男性よりも約10歳程長生きであるらしい。後10年もすると、都市部の世帯人口比率とその割合が50%近く迄上昇してしまうという統計も出ている。この内約30%は単独世帯であるらしく、全都道府県レベルで見ても、世帯における定年退職対象の年齢に達する高齢者の割合は30%近くになるらしい。こんな事を言うとまたしても婚活や介護センターの紹介記事のようになっているが、決してそんなつもりは無いのでまたこれもスルーする。(笑)

 出生率を上げてもそれに変わる死産と乳児死亡人口に加え、全体的な死亡人口これに追い付かない。折角出産してもペットのごとくその子育てに手を焼き、育児放棄をする親がいる等、厚生白書に表れない陰の統計が現実的に垣間見えた時に、日本各地にある富士の樹海的な要素が、ロシアの惨劇の日本版になる可能性は十分に含んでいる。日本医師会や厚生労働省の管轄する数値では約2分に1人のペースで赤ちゃんが誕生しているようだが、その後の生存率は全くのグレーゾーンだ。性欲先行的な個人主義とそれに追従する医薬品業界もあるが、結局は男女共に生命に対する尊厳と母親の育児に対する覚悟が一番重要な所に位置する。生後1年までがベビー用品の最大需要排出期で、その期間にこそ無駄な…もとい様々な有益な乳児用の玩具用品が売れる一番のかき入れ時だ。口のきけない乳幼児の育児ストレスをパートナーと共有出来ない、もしくは人生経験が未熟であったり、仕事上産休が不可能な労働環境で働いている等の付加要素により、出産後に遺棄もしくは事前に出産の選択肢を生活から外すカップルも出て来る。ここまで不安感を煽っておけば、ここいら辺で墓石等の広告を出す事も考えられるが、それは流石に良心がとがめるので、やっぱりスルーだ。(笑)

 民間企業、行政を問わず予算編成や概算要求の際にいの一番に切り捨てられるのが福祉予算である。女性が安心して育児が出来ない女性の雇用機会均等状況では、シングルマザーが可能なのは一部のエリート女性に限られて来る。加えて最低賃金の底なしの切下げや今後の派遣労働法の改正がザル的なもので終わる等といった事が起こった場合、社会人のみならず日本全国での出産放棄と育児放棄を産み出す現象を作りかねない。一部の特権階級によるエリート世帯とエリートベビーのみを排出していれば、それで良いという意見も聴こえて来そうだが、ここでこそ日本の保守派は声を上げて国の社会福祉の充実を叫ばなければならない。なぜか?

 世界中の人口比率から総人口と労働人口の割合を統計した際に、現在のままの日本の人口推移の場合、50年後には確実に労働人口の補充移民を強いられる必要性にかられる。その先手として、日本企業の海外移住も始まっているが、大企業の海外進出はそのまま下請けを現地に求める事になり、日本独自の生産ルートと産業構造そのものを変化させなければいけなくなる。働く場所を失われた定年退職者と年々低下するその定年率によって、現在の水準を維持するには、若者の人口率が最低でも年間数百万人レベルで必要になって来る。そうした人々の搬入に際して、年間労働を行う際に派生する日本産乳児の管轄を入管と総務省はどう扱うのか。それらの問題の行き着く先は、100年後には純潔な日本人血統が薄まり、少なくとも国内の日本人の1割以上が外来種で埋め尽される事になる。一部の特権階級や天皇の男系の純潔だけに気をとられている間に、首都圏以外の日本人は、分けの分らない外国訛りの日本語が飛び交うLA化した日本という未来図が待っているに違い無い。森有礼の目指した日本人の血液を総入れ替えする、大近代化革命が200年の時を超えて成される日も現実味を帯びて来てしまった…。