ブスのネイルは無駄だと思っていた。
ブスがネイルをしたところでブスだから。
豚に真珠、ブスにネイル。
デブにルブタン、ババアにデパコス。
本質は変わらない。 ずっとそう思っていた。
そんな私が最近、友人の紹介でネイルサロンに通い始めた。
ある朝、目が覚めたら美人になっていたワケでも無いのに。
「1度行って、またどうせ行かなくなる」
そう思っていたが、自分好みの色で綺麗に塗り上げられていく指先を眺めているうちに、すっかり気が変わっていた。
どうやら私の中にもちゃんと”オトメ”が住んでいたようだ。
"ブスがネイルをしたところでブス"
第三者から見ればその通りだけれど、ネイルは自分の視点から見ることの方が断然多いってことに、ネイルをして気が付いた。
スマホをいじる時、パソコンで文字を打つ時。
野菜を切る時、本をめくる時。
そんな何気ない動作の一つ一つに、ネイルをした指先はくっついてきて、私の気分を上げてくれる。
ほんのチョットだけ、美人になった気にさせてくれる。
ブスの自己満足は、自分にとってそう無駄でもないようだ。
