僕は今までにも増して、ひと目になるべくつかぬよう、慎重に大学に通った。
 服装は毎日、黒のパンツに黒のパーカー姿で、パーカーを目深に被った。そして、前髪を顔の半分以上までのばし、鬼太郎状態で、ほとんど顔が隠れている。いいのだ、どうせ僕は、妖怪のようなものなのだから・・・。
 僕の瞳は、どんどん虚ろになった。ほとんど顔など出してやいないのに、それでと僕は、毎日うつむいていた。いつも、いつ何時も、ぼっちだった。そんな僕を不気味がるばかりで、僕に惚れる女子など、とうとうひとりもいなくなった。
 町を歩けば、警官によく職質を受けるようになった。僕はただ、気配を消したい、それだけなのに・・・。そんな僕は、いつしかSNS上で、匿名で毒を吐きまくる輩に、成り下がっていった。
 気がつけば、僕の翼は、真っ黒に変色していた。僕はいつの間にやら、悪魔に降格してしまったのだ。
“堕天使ガブリエル・・・”
 とんだ笑いぐさだろ?