僕はそれからも、日々スクスクと育った。両親の心配をよそに、僕はみるみる大きくなり、気がつけば、いつも同級生より、頭ひとつ分飛び出していた。健康状態も、いたって健康そのものだった。
 しかし、たったひとつ、他の子供と違っていたのは、僕の肩甲骨も、身長と同じくグングン発達し、気がつけば、白い翼に成長してしまったことだ。
 以前は名前負けしていると思ったこの名前だが、僕は文字通り、天使になってしまった。天使といえば聞こえはいいのだが、僕の意思にはかかわらず、要するに、鳥人間になってしまったということだ。
 じゃあ、飛べるのかって?そりゃそうさ。だって、鳥なんだから・・・。この翼は伊達じゃないよ。なんつったって、僕のこのデカい体を飛ばせられるだけの、そりゃあもう、大きな大きな羽だかんね。
 そこの君、今羨ましいって思っただろう?
“夢の中の世界だけでなく、いつか現実でも自由に空を飛んでみたかったんだ”って。
 とんでもない!鷲より遥かにデカい、ダチョウクラスの鳥獣が、空を舞ってみろ。僕は警察に通報されて、即、銃で撃ち落とされてしまうね。なのでせいぜい僕は、家の中で、二階から一階へと、トイレに駆け込む時に飛ぶくらいだ。
 ああ、なんてちまちました天使・・・。