家に着くとわたしは早速、百合の花を飾るべく、部屋の棚の上を片した。
 誰からもらった海外旅行のお土産の、キレイな刺繍のランチョンマットを、棚にひいた。
 真ん中に百合の花を据え置き、脇には銀の燭台に白いロウソクを飾った。
 わたしだけの神聖な、秘密のプチ祭壇が完成した。
 わたしは鏡台にしまわれたままで、一度も使ったことなどないのに、すでに埃っぽくなってしまっていた、小さなクロスのチャームがついたネックレスを、首にぶら下げた。
 その日の夜、部屋の明かりを消し、ロウソクを灯した。揺らめく炎によって、神聖さがいっそう増した薄暗い部屋で、わたしは再び手を合わせ祈りを捧げた。時間が経過すらのも忘れてーーー。