「あれっ、これって、僕のあの財布ってこと??」

 よくよく観察すれば、形といい、材質といい、確かに伸太の財布のようなのだ。

「中身は、2万円くらいだったよな?」

と、中を開けてみた。

 確かに、中身は2万円弱であった。しかしそこには、伸太が日頃使っていたはずの現代の紙幣や硬貨ではなく、この時代の旧いデザインの紙幣や硬貨がしのばされている。

「なんで?

なんで、なんで??」

 伸太は現実が受け止めきれずに恐ろしくなり、財布を握り締める手がブルブルと震えた。妙な脂汗が、体中に滲み出している。そして思わず、そのドラ○もん財布を床に放った。

「あー、もう、どうしちゃったんだろ、僕・・・。

急に、なんでこんなことになっちゃったんだ?」

 夢でも見ているのだろうか、いやむしろ、ただの悪い夢であって欲しいと、ガックリと肩を落とした。

「でも、待てよ・・・。

この時代の2万円っていったら、かなりの価値だよな?

確かに僕、ドラ○もんでもいて、お金を何倍にでもしてもらえないかなぁなんて、バカなこと願っちゃったけど・・・」

 伸太は、ただただ途方に暮れるのだった。