胎児胸水、胎児水腫について
胎児胸水に対する胎児胸腔・羊水腔シャント術
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胎児胸水の原因
- 心奇形
- 不整脈
- 血液型不適合
- 感染症
- 染色体異常など
約5%の症例においてDown症候群などの染色体異常を合併すると言われている.
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胎児胸水は約10,000〜12,000に1例
原発性と続発性の2種類がある
原発性胎児胸水は胸水以外に異常が見つからない胎児胸水のこと。胸膜のリンパ管(胸管)の一部から、リンパ液が漏れている状態で、リンパ液がたまっていることから乳び胸(にゅうびきょう)とも呼ばれている。
一方、続発性胎児胸水は心奇形、不整脈、母体と胎児の血液型の不一致、感染症(PB19感染、サイトメガロウイルス感染)、染色体異常などが原因で胸水がたまっている状態。続発性の場合はダウン症の確率が高く、胸水を取り除くことが根本的な治療につながらないので、慎重な判断が必要。
胸膜腔に水がたまるとどうなるか
胎児胸水のうち約20%は自然寛解、つまり自然に改善していく。つまり、治療を施さずに出産が可能。しかし、徐々に進行して水が大量にたまり、心臓を圧迫して胎児水腫や循環障害を引き起こすリスクもある。
胎児水腫とは、胎児の胸や心臓の周りに水がたまり、むくみが生じた状態を指す。
胎児水腫の原因は多岐にわたっていて、治療が可能な場合もあるが、子宮内や生後早期に呼吸障害で亡くなってしまうことが多い。
また、肺がたまった水によって長期間圧迫されると肺低形成を引き起こす。肺低形成とは肺が発育不全のため、出生直後から重度の呼吸障害を起こす疾患で予後は不良。

