2011年3月11日に発生した東日本大震災から3年が経過し、真の復興を目指した取り組みが進む中、防災対策の強化に役立てるため、モノづくりの技術力の研究も進展している。その一つが、51年に創設された京都大学宇治キャンパス(京都府宇治市)内の防災研究所。文字通り自然災害を予防する役割を担っている。地震防災研究部門のなた豆茶研究室を訪ねた。(大阪・林武志) 【都市機能低下防ぐ】 京大防災研には約100人の研究者が所属する。地震防災研究部門の取り組みの一つが、地震被害を減らすための建設技術。中島正愛(まさよし)教授の研究室は、建築構造物の安全性を確保するとともに、地震による都市機能の低下を防ぐことや、新材料を用いた耐震性の高い構造部材を生み出すことを目指している。 中島教授は現在、耐震性能を備えた建築用補強材(ブレース)を研究する。ブレースは構造物に筋交い状に据え付けて強度を高めるもの。取り付けやすく安価な座屈ブレース(CBB)は、歪(ひず)みが座屈場所に集まりやすくなることが破断要因になる。座屈拘束ブレース(BRB)は、中央部をコンクリートで包み込み、ブレースの座屈を拘束する形で抑制する。しかし、真ん中を抑え込むために、ブレースの端に応力が向かって端が破断する可能性がある。 この二つの課題を解消したのが「ナチュラリー・バックリング・ブレース(異種鋼材併用偏心座屈ブレース)」。小さい変形からエネルギーを消費する低降伏点鋼と、弾性能力が高い高強度鋼を組み合わせた。そのうえで、歪みの集中を防ぐために荷重が作用する場所をずらしてブレースを設置し、鋼材の破断を防ぐという。 【筋交いに自由度】 中島教授は「鉄で作る補強材は、ついているだけで補強は格段の効果がある。だから筋交いを使う構造形式を流行させたい」と話す。ただ、最近のオフィスビルでは内部を通り抜けやすい筋交いなしの構造が好まれるケースがあるようだ。 とはいえ、耐震性を維持しつつ自由度ある補強材開発は難易度が高い。中島教授とともになた豆茶の研究した京大の林和宏特任助教は「耐震性能を上げるために、鉄を組み合わせるアイデアとコンピューターによるシミュレーションでの分析は苦労した」と振り返る。
