デビュー・アルバムの話で、もう1枚思い浮かんだのがこの方です。


黒いジョン・レノンという触れ込みでデビューした「レニー・クラヴィッツ」、マルチ・プレーヤー・アーティストですね。


非常にデモ・テープっぽい作りではあるんですが、逆にその生っぽさが強烈で、アナログ機材や録音のこだわりと、ビートルズとソウル・ミュージック、ジミ・ヘンドリックスなどのオールド・ロックの融合というコンセプトが鮮烈な印象を与えたデビュー・アルバムでした。



当時松戸に住んでいた僕は、駅からの帰り道、夜にバスが終わった後はよくラジオを聞きながら歩いて帰っていました。


記憶違いでなければ、その時、確か中島みゆきさんの番組を聞いていたと思います。

みゆきさんがレニー・クラヴィッツという人のことをしゃべり、知らないなぁなんて思いながらボケッと聞いていたら、流れてきた曲がこれでした。




「うわわわっ!」と思わず横に逸れて、土手に座り込み聞きこんだ記憶があります。

この音、しびれまくりました。


翌日すぐにアルバムを買いに走ったのはいうまでもありません。



アルバムから、ビートルズ・ライクなストリングスにニンマリしてしまうこちらを。






こちらは、個人的にはとてもジョン・レノンを感じる楽曲です。




鍵盤やホーンなどの上物以外のほとんどの楽器をレニーが1人で演奏しています。

己の信じるサウンドを追求した個性的なアルバムと思いますが、過去のサウンドの引用が過ぎるという評価もあったようです。


確かに何々風~、という印象はありますが、圧倒的な歌がそれを補って余りあるほどの存在感を示していると僕は思います。


当時既に大衆音楽のトップを走る勢いだったヒップホップの台頭もあり、サンプリングという手法と共に、昔のサウンドの引用は新たなフェーズに入っていたのではないでしょうか。


DJ、ラッパーだけでなく、ミュージシャン側からも、過去のサウンドをリスペクトしつつ、新たな感覚を加味したサウンド・アプローチは、その後一般的になっていきます。


また、レニーの影響もあり、アナログ機材やアナログ録音の再評価の波も起こったのでした。




当時決まっていた来日がキャンセルになり、結果オノ・ヨーコさんの企画したジョン・レノン・トリビュート・コンサートが確か初来日だったと思います。


僕は幸運にもその公演を見に行くことが出来ました。

リンゴ・スターやマイルス・デイビスや清志郎

を見たかったのもありますが、一番のお目当てはレニーでした。

その時レニーはまだ日本でも一部の音楽好きしか知らないマイナーな存在でしたが、清志郎が嬉しそうにステージに踊り出てきて、


「すごいヤツが来てくれたぜ!レニー・クラヴィッツ!」と紹介していたのが印象的でした。

粋ですね!


そして披露されたジョンの「コールド・ターキー」のカバーも最高でした!あれで度肝を抜かれた方も沢山いらっしゃるのでは。


その後の活躍はすごいもので、あっという間に世界的なミュージシャンになって行きましたね。

世界的にブレイクしたのは、かなりハード・ロック寄りになった3rdアルバムかと思いますが、個人的には2ndアルバムが特にお気に入りです。

様々なサウンドのバランス感が素晴らしいです。


2nd発売後にプロデュースしたヴァネッサ・パラディのアルバムも最高でしたし、マドンナとコラボレートした『Justify my love』や、ミック・ジャガーとの『Use me』もカッコ良かった!




最後にファーストのオープニング曲を。

リズムはレゲエではないんですが、僕はボブ・マーリーを感じます。

カウントから始まるのもデモっぽくてカッコいいですね!





それでは、また。