CAR-T細胞療法は、日本ではすでに急性白血病や悪性リンパ腫などの血液のがんに保険適用になっています。私の会社の男性従業員も悪性リンパ腫なので保険適用かと思ったのですが(彼の)古典的ホジキンリンパ腫には、残念ながらまだのようです。彼は現在は順調ですが、いざという時の備えはあった方が安心です。血液のがんは種類が多く、現在のCAR-T細胞療法の保険適用は、再発・難治性の数種類の血液のがんのみのようです。悪性度が高い方を優先してるのかもしれません。でも奏効率は52~84%とかなり高めです。ただ、この治療法が固形がんにも効果があればよいのですが、これまで様々な理由で困難だったようです。

CAR-T細胞療法の仕組みは、患者自身のT細胞を採取して、そのT細胞ががんを攻撃できるように遺伝子改変(キメラ抗原受容体遺伝子の導入)してから再び体内に戻します。例ええれば、頼りないポパイ(T細胞)がホウレンソウを食べた後(オリーブがウットリ)に強くなるような感じです。遺伝子改変というと不気味な感じもしますが、まず患者の命を救うことが優先でしょう。その意味では、抗がん剤や放射線も同じと思います。

 

一部要旨:(米国の)研究チームの最新の研究では、卵巣がん細胞の表面に発現するTAG72(他の多くのがん細胞の表面にも発現するタンパク質)を標的とするCAR -T細胞療法が、マウスモデルでがん細胞を根絶することが判明した。この(がん細胞の)標的(TAG72)は膵臓がん、大腸がん、乳がん、脳腫瘍を含む他のがん細胞でも見つかっている。また(実験室では)免疫系に信号を送るインターロイキン12を追加すると、治療がより効果的になることがわかった。卵巣がんでの臨床試験がうまくいけば、他の(がん)患者にも拡大することが検討できるでしょう~ここまで

 
(臨床試験の内容)
原題:プラチナ耐性(シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチンなどが効かなくなった)上皮卵巣がん患者の治療のためのCAR-T細胞(改変された免疫細胞)

一部要旨:この第 I 相試験では、上皮性卵巣がん(プラチナ耐性)患者の治療でのCAR-T細胞の安全性、副作用、最適用量をテストします。T細胞は感染症と闘う血液細胞で、腫瘍細胞を殺すことができます。この研究で提供されるT細胞は患者から採取されたもので、腫瘍細胞の表面にあるタンパク質(TAG72)を認識できるようにする新しい遺伝子が組み込まれています。これらの TAG72 特異的 T 細胞は、体の免疫システムが TAG72陽性(発現)がん細胞を特定して殺すのに役立つ可能性があります~ここまで

 

CAR-T細胞療法の固形がんへの実用化はまだ先でしょうが、日本ではすでに(一部の)血液のがんに保険適用があるで、固形がんの治験臨床試験も早めに実現すればよいと思います。

 

by kotaro