スポーツや受験勉強の分野に「量質転化の法則」という言葉があります。本来は弁証法の三法則の一つですが、その意味は「量を積み重ねていくと、ある時点から質が変わる」ということで、通常は良い意味として使われます。例えば自動車運転の場合に、教習所で習い始めた頃は、一つ一つ考えながら慎重に行っていた一連の動作が、慣れるにつれていつの間にか無意識にできる(質の変化)ようになります。運転技術が技(長期記憶)として、しっかりと定着するわけです。このことは運転の場合だけに限らず、スポーツや仕事の技能をマスターする上でも同じだと思います。
しかしその反面「慣れ」には危ない側面もあり、当初はすごく慎重だったのに、慣れてくるにつれて、次第に細かい注意が疎かになってしまう場合もあると思います。私はそうならないようにできるだけ気をつけてますけど・・ さらにもっと重要なことは「量が質を変えると」反対の性質になってしまう場合もあるようなのです。
(私の)この過去記事で引用したリンク先には「この抗炎症薬が一酸化窒素(NO)の産生を阻害することで腫瘍の周囲の炎症を抑制することが示唆された。これにより、抗腫瘍免疫細胞が腫瘍に侵入し、がん細胞を殺すことが可能になったようである」とありました。
文中の一酸化窒素(NO)は血管拡張物質であり、血圧を下げ、血管老化の予防や抗血栓作用もあるといわれてます。それなのになぜ(身体によいはずの)一酸化窒素(NO)を減らすと、抗がん剤が効きやすくなるのか私には不明でした。
でも少し前に、糖尿病にとても詳しいある方が「体によいはずの一酸化窒素(NO)が、老化で体内に異常に増えると、アルツハイマーや神経変性疾患を招き、人体で悪影響を及ぼしてしまう」という研究を紹介されていました。とても大切なことに思えたので、私も読んでみました。
一部抜粋:NO(一酸化窒素)は血圧調整や記憶形成、殺菌といった重要な役割を担う一方、老化で発生量が異常に増えるとアルツハイマー病をはじめとした神経変性疾患を招くなど、人体に悪影響を及ぼすことが分かっている。ヒトやマウスの細胞を多量のNOにさらして影響を調べた。まずシャーレのヒト細胞に高濃度のNOを投与すると、PCR検査で大腸、胃、肺がんなどの原因遺伝子が増えていることが分かり、細胞のがん化が確認された。続いてNOの発生を誘発するゼラチンと、がんの基になる細胞をマウス12匹に注入し、体内で同じ状況を再現。NOと酵素の結合(=発がんにつながる)を防ぐために開発した薬を投与したところ、細胞ががん化して腫瘍ができたのは3匹にとどまった。実際、米国で入手した大腸がん患者の摘出臓器を解析したところ、患部の酵素に多くのNOが結合していた~引用ここまで
過剰な一酸化窒素(NO)は、アルツハイマーだけでなく、がんも悪化させてしまう可能性があるようです。一酸化窒素(NO)はサプリとしても販売されています。その規定量を普通に守っていれば問題ないのでしょうが、過剰摂取の場合には注意が必要です。私は腰がすごく痛い場合などに、緊急避難的に(その時だけ)アリナミンを少し多く飲んだことはあります。でも量が少し多いだけなので悪影響はなかったです。腰痛も少し楽になりました。しかしサプリを過剰摂取する場合などでは桁が違ってきます。通常は身体に良いと思われる成分でも、基準量を大幅に超えた場合に、よほど慎重でないと、予期しない何らかの悪影響が発生してくる可能性も考えられます。それゆえ私はサプリの過剰摂取は避けています。