朝のワイドショー番組で安倍晋三元総理銃撃事件に関する問題を取り上げていたが、その中で印象に残った内容を再考してみたい。
 番組には元参議院議員のジャーナリスト有田芳生が出演、山上徹也容疑者が安倍氏銃撃に至る背景を世界統一平和家庭連合(旧統一教会)の信者だった母親がおこなってきた教会への多額な献金が原因で家庭が崩壊していったことへの教会に対する恨み、そして旧統一教会の日本での基盤づくりに安倍氏の祖父である岸信介総理大臣(当時)が深く関わっていたことの二点が安倍氏銃撃に繋がっていった、という経緯が興味深かった。
 旧統一教は教祖の文鮮明が1954年に韓国で立ち上げた基督教を元に教義を文鮮明が創った所謂新興宗教なのだが、文鮮明という人物は生い立ちから一貫して汚辱にまみれた人生を送りながら基督教の名を借りたカルト集団を築いていった「カツアゲ集団」のようなもので統一教資金集めの手段として高額で教本を売りつける「霊感商法」などはその最たるものである。
統一教を世界に広めるにはそれぞれの国の政治的トップと「握ること」が早道である、と踏んで文鮮明は時の権力者に近づいていった、という構図が透けて見える。1968年当時の日本では自民党総裁だった岸信介が絶大な権力を持っていたから文鮮明は布教拡大を信者の票をもって岸と「握って」いたことで互いの利益相反を図ったものと思われる。岸にしてみても教会を集票マシーンとして利用できれば組む意味があるわけで両者の利害は一致する。政教分離が言われて久しいがこのようにして当時から政治と宗教は深く結び付いていた。現代においては公明党と創価学会の関係が正にこれである。
銃撃犯山上徹也の供述からも攻撃対象の第一は旧統一教会であり実際に統一教会建物にも銃撃を加えている。旧統一教会が日本に根差していった一端は岸信介でありその孫にあたる安倍晋三元総理はそれらの延長線上にある人物、という見方が山上の中に芽生えその結果、今回の銃撃対象になっていった、といったところあたりが事の真相なのではないか?と
いずれにしても人間の弱みに付け込んで信者を増やし集金活動に繋いでゆく、という手法で活動する輩は混沌とした時代には掃いて捨てるほど存在するわけで人として生きるまっとうな信念や倫理観をしっかり持って付和雷同することなく自分の信ずる道を歩んでゆくことが人生を紡いでゆく上で一番の要諦なのだ、ということを気づかせてくれる一件だったことは確かである。「真実」を見誤ると取り返しのつかないことになる。