2019年末から始まったコロナ禍をきっかけにロシアによるウクライナ侵攻、中国覇権拡張政策による東南アジアやソロモン諸島などへの経済力を絡めた浸潤、さらには尖閣列島周辺への既成事実化など西側特に〝世界の警察〟を自負していたアメリカの脆弱化を衝いた社会主義国の行動が世界を揺さぶっている感が強い。
 第二次世界大戦以降80年近く続いてきた東西の勢力バランスが中国の経済的台頭によって揺らぎつつあることは自明だ。
 古くは朝鮮半島やキューバ問題、イラン・イラク戦争など中東での紛争の裏にあった東西陣営の存在が見え隠れしてはいたが今次のロシアや中国の行動ほど東が西を標的に行動する、という鮮明な形にはなっていなかった。この傾向は今後ますます強まってゆくのではないか?そしてこれらの鬩ぎあいはエネルギーや食糧の争奪戦にまで発展し世界が混沌とした時代を迎えるのではないか?というのは国連をはじめWHO世界保健機構やWTO世界貿易機関といった様々な意味で世界のバランスを取るべき国際機関の脆弱ぶりが顕著で明確な機能が果たせていない、という事実を感じるからである。
 このような世界情勢が最近ではINの発達によって我々のような素人でも輪郭的情勢を知ることができるようになったからである。
 もう一つ世界を不安定な状況に陥れようとしているのが経済だ。特にアメリカで進行しているインフレーションである。物価の高騰は日を追って進んでいる。ドルは連日のように値上がりを続けていて円売りも加速状態だ。すでに1ドル135円になろうとしていて日本国内の物価もうなぎ上り常態である。当然ガソリン価格も上がり政府の補助金25円を考えなければ1リットル190円近い値段になってしまっている。日本でもインフレは更に加速してゆきそうである。日本の致命傷は業績の良い企業が一様に内部留保のため込みに走ってしまい賃金を引き上げることをやっていないところである。円安によって輸出を中心に活動している企業は物凄く儲かっているはずなのだが労働賃金を抑えてしまっているから庶民には金が回ってこない・・・。上がった利益を労働側に還元すれば好況感が一般人にも伝わり消費活動に結びついてくるはず。こんな時代だからこそ政府は経済界に強権を使ってでも社会に金が還流する手段を講じないかぎり経済の好転は望めない。つまり経済的側面でも政治が機能していないのである。
 経済だけでなく福祉も教育も政治力の乏しい国は国民が疲弊するばかりである。日本の国民は諸外国と比べ良い意味では従順でおとなしい、悪く言えば抗議もできないだらしがない、ということである!
 世界を観ながら国内のあるべき姿を希求する、そんな主導者が現れない限り日本の先行きは暗澹たるものがある。