9月3日菅儀偉総理が次期総裁選不出馬を表明した。在任期間約1年間、東京五輪は開催されたものの新型コロナとの闘いに明け暮れた1年だった。
 政権末期には森友問題や加計学園問題、果ては桜を見る会事件など政治家本来の技量以外の不祥事を連発しブラックのイメージ満載の果てにコロナ禍が襲い体調を崩して退陣した安倍内閣の後を受け安倍と麻生に押し出されるような形で政権を任された菅氏だった。
8年以上の長期政権だった安倍内閣を官房長官といういわば女房役を実直に勤め上げた人柄とキャラクターはまさに黒子に徹するいわば脇役が適任だった菅氏が「政権の顔」としての総理大臣に就いたのはある意味不運だったのかもしれないが在任1年間で成し遂げた成果は10年分にも匹敵する物凄いことばかりだった。
 

 秋田のいちご農家に生まれた菅氏は自身も語っているように「農業こそ日本の基盤でありその地位向上のために活動したい!」という初心通り国外流出の恐れがあった農産物(シャインマスカットの韓国流出)を防止するために「改正種苗法」を成立させたり、こども庁設立、デジタル庁設立を短期間で成立し、さらには自衛隊基地や原発周辺の土地が外資系資本に買収されないようにする「重要土地取引規制法」成立や携帯料金引き下げの実現、不妊治療への保険適用拡大実現など安倍政権では実現できなかった案件をたった1年で矢継ぎ早に成案させた手腕は特筆すべきことである。
さらにコロナ禍でのワクチン政策の功績である。
単身アメリカに渡りファイザー社から全国民分への供給量を賄うワクチン確保を取り付けてきた功績は大であり、そのおかげで日本人のワクチン接種がここまで進んできていて日本人の命を救っていることは明白な実績であり、このワクチン確保によって1日100万回以上の接種が実現しているのである。これらの実績は菅氏の剛腕があって国民にもたらされたものであり他の政治家では到底成しえなかったものだと我々は認識しておかなければならないことだと思う。
 

 菅さんの最大の欠点は〝言葉足らず、表現下手〟なところだろう。カメラの前に立ち、街頭に出て「私はこう考えてます!こうしてコロナに打ち勝ちます!」ということを具体的に国民に向けて声高に発言していれば国民からの支持も支援ももっと大きなものになっていたに違いない。
そういう意味でいえば自民党内で無派閥だった、ということも逆風で総裁でありながら孤立無援な状況にあったことは慙愧に耐えない部分がある。安倍・麻生に蹂躙され便利使いされ果ては見切られる、という不遇な目にあった、という感は否めない。中身の無い口先だけのかっての宰相達に較べるとはるかに実があり実績も残した苦労人らしい総理大臣だったと痛感する!
 まもなく野に下る方ではあるが発言の通り今後もコロナ収束に向けて取り組んで欲しいし「その任」を是非菅さんにこそやってもらいたい、と切望するものである!