参院選で参政党が躍進したと報じられています。実はこの参院選は他の所に結構ポイントがあるのですが、それは追々書いていきます。
これまで『参政党ブームの本質は参政党にはない』と申し上げてきました。
そのことが端的に理解できる記事が以下の記事です。この記事には、参政党ブームは『既存の政党が不安に応えてくれない』ことに参政党が応えたからとあります。その通りです。ですから、そのブームの本質は参政党にはなく、その民衆が抱える『不安』にあるのです。この不安に応える政党が他にもあれば、参政党ブームは大きくはならなかった。ここがおさえなければならないポイントです。
・ 『【参院選】石田健氏が参政党大躍進に私見「既存の政党が不安に応えてくれない」』(2025年7月20日 日刊スポーツ)
今回の選挙において、その『不安』の最たるものが外国人問題でした。このことに不安を感じている日本人のほとんどは排外主義ではないと考えます。
しかし、この人々は日常生活で外国人に不安を感じているのです。ほとんどの人は何かの被害にあっているというわけではないのですが、日常、出くわす外国人に不安を感じている。
東京では特にコロナ禍があけてから急速に旅行者ではない外国人が増えていますので、日常で不安を感じることが多くなっているわけです。そのような外国人の歩道での歩き方ひとつとってみても、不安や違和感を持つ事が多くなっているわけです。
そして、その上にこの半年間で在留外国人による犯罪が頻繁にテレビなどで報道されてきました。最近では三郷での中国人によるひき逃げ事件、東京板橋区のマンションのオーナーが中国人に変わったことによって罪もない日本人居住者が被害にあったケースなどです。私もこの二つのケースについて正直に『許しがたい』と心から思いました。
また、事実、東京板橋区のマンションの事案と類似・関係するようなことを私は何度か実際に耳にしたことがあります。すでに東京ではテレビの中の特別なニュースではないのです。
このようなテレビなどの報道を目にすることによって、多くの人びとは日常生活において外国人の被害にあう可能性を感じたわけです。このようなことはこれまでほとんどなかったことですが、一気にそうなったわけです。
そういうときに、参政党はその不安に応えるメッセージをだした。一方、自民も立民もなにもしない。さらに国民民主が山尾しおりで失速した。こういうことが重なって、選挙直前になって参政党ブームが動き始めたわけです。
こういう流れの中で、選挙まで一週間となった7月12日、TBS『報道特集』では、参政党を引き合いに出して、『差別はいけない。ヘイトはいけない』という論調の番組を放送したわけです。
ほとんどの人は差別やヘイトがいけないことはわかっている。でも、問題はそこではなくて、私たちの『不安』を理解してほしい。解消してほしい、それが正直なところなのです。
でも、そのような不安があるのに、それを無視して差別・ヘイトをするあなたは悪いというメッセージをTBS『報道特集』は出していたのです。そして、そのことがネットで拡散された。それも選挙の一週間前に。それなら、参政党のブームは一気にブーストするに決まっています。
さらに、このようなロジック・論調で、報道特集や左翼リベラル、そして外国人に対する悪感情は増幅します。『私たちの不安を理解せずに、私たちを一方的に悪くいう人々』、そう思うわけです。はっきり言ってこの回の報道特集は完全にポイントを見失った極めて悪質な問題ある内容になっていました。政治的・社会的な責任があるとすら私は思います。
差別やヘイトをなくすには、参政党を攻撃するのではなく、一般の人々の不安にアプローチするしかないのです。それをしないで差別・ヘイトをしているあなたは本当にダメだということを番組で一方的に言えば、一層、ヘイト・差別は盛り上がります。本当にこの報道特集のスタッフには思考能力があるのかとすら思います。まさに愚の骨頂です。
今年の4月、ある日本人に帰化した元中国人の方とご一緒しました。その方のルーツも日本人で、そのルーツとなる方を私は何度も取り上げています。
そのこともあってこの方とご一緒していたのですが、その方が私に私の車をつかって運転をしてくれないかといってきたのです。
その方は旅行業をしているのですが、要するに私に『白タク』をしてくれないかといってきたわけでえす。
そのときは一笑に付しました。ただ、その後、上記の在留中国人の傍若無人さの報道を観て、なるほどこの方もそういう人々と同じで、日本人と日本を尊重する気がさらさらないのだと心から思いました。それで、この方が関係する会に私も関わっていたのですが、6月に退会をいたしました。一切手を引きました。
私はこれまで石橋湛山の全方位善隣外交と同じことを主張してきました。無論、これからの日本はその方向しかありませんし、この考えは変わっていません。
でも、日本人と日本を尊重する気がない人々に対しては毅然としなければならないと考えています。法を守らない人には法を守れと言わなければならない。
であるのに、『報道特集』のように法を守らない人を問題にしないで、法を守れと言った人に対して差別をするなというのは明らかにおかしなことです。
日中友好も、外国人との共生もとても良いこととですが、それは日本人のがまんや苦痛、泣き寝入りによって成立つものではありません。むしろ、そのようながまんや苦痛、泣き寝入りは、結果として強烈なヘイトや差別感情を生み出します。しかし、7月12日の『報道特集』はまさにこのロジックを放送したのです。
これは強烈なヘイトや差別感情を生み出す危険な動きなのです。猛省すべきです。社会的、政治的責任があることです。
7月12日の丁度一ヶ月前、実はあるジャーナリストと上記の在留中国人の話をしていました。そして、日本人のがまんや苦痛、泣き寝入りがあって、日中友好などはありえないから、しっかりと対処しなければならないという話しをしていました。
そして、このジャーナリストとは、『行きすぎた左翼の言動は右翼に追い風となり、行きすぎた右翼の言動は左翼に追い風になる』ということを話していました。まさに『報道特集』はこのことをしてしまったのです。そして、その結果が、この参院選で明らかに出ました。
この番組こそがヘイトや差別を誘発しているのです。猛省をすべきです。
私はこれまで『報道特集』を高く評価してきましたので、今回のあまりの低劣さには心底呆れました。