「Signs!~微力だけど無力じゃない~」
舞台「Signs!~微力だけど無力じゃない~」無事全公演終焉致しました。
総勢41名にも及ぶキャストたちと本気で挑んだ舞台。
顔合わせから稽古期間、全キャストが心を込めて伝えようと努力した作品でした。
しかしながら長崎の高校生平和大使を知ったのは恥ずかしながらこの舞台でした。
広島に生まれ、被爆三世として原爆の悲惨さを学びながらも当時周りの活動にはこのような運動を知る機会もなく、自分が学生時代に育った30年前には何も出来なかったことを悔やみました。
情報もネットもない時代。口コミだけが唯一の情報源。
メディアは流行を追いかけ、平和運動を取り上げない。
まさに情報鎖国時代でした。
戦争は悪だ、原爆は悪魔だと言われながらも何も出来ない日々、毎年平和記念公園で行われる8月6日の式典もただただ世界は変わらないんだと歯がゆい思いで
黙祷を捧げるだけ。それをよしと思ったことは一度もありません。
それでも出来ることの限界を感じてました。
どうせ自分たちはちっぽけな存在なんだと。
「裸足のゲン」をぼろぼろになるまで何度も読み返しては
二度とこの悲劇を繰り返してはいけないと思っていたのに。
家族が目の前で死んでゆく有り様をなす術無く悲しみ抜いて嗚咽をもらすだけ。
想像しただけでもこの世からいなくなりたくなります。
「蛍の墓」
「この世界の片隅に」
など様々な作品をもう一度見ました。
その上で教師を演じることこそが過去と向き合い、原爆と向き合うという
自分の挑戦でもありました。
さかのぼること数ヶ月前に知った高校生平和大使。
この言葉、この存在を知ったのは制作発表記者会見の少し前でした。
舞台へのオファーがり、台本を読んで初めて実在するこの活動に触れることが出来たのです。
まずは衝撃でした。
そんな活動がある、そんな先生がいる、そんな高校生たちがいるってこと。
よくよく考えればこれはとても勇気のいる行動です。
自分の夢や希望を追いかけるだけで必死なはずの日本の10代の高校生たちが核兵器を無くしたいと署名活動を行い、国連軍縮局で演説するなんて。
世界中の誰もがこれを無謀な行いだと言うでしょう。
どれだけの虚しさを味わうのでしょうか?
それでもその一声を上げる勇気。
それでもその一歩を踏み出す勇気。
私たちは人生を幸せに生きる権利があり、
私たちは世界を平和にする義務があります。
それは人が知恵をしぼって暴力ではない解決方法を見いだすこと。
その解決策が出来るのは
この地球上で人類しか出来ないこと、そして人類は必ず出来ると信じること。
そう、私たちはきっと出来る。
私たち人間は殺し合うために命をもらったのではない。
愛し合い、救い合い、尊い命を守るためにこの世界に産まれてきた。
この声を上げてくださった勇気ある先生に本当に敬意を表します。
本当に地道な努力の末に辿り着いたこの高校生平和大使。
そんな勇気あるリーダーの存在がきっと世界を変えてゆくのだと。
僕の演じた教師のモデルとなった平野先生、本当にありがとうございます。
あなたを演じることが出来て本当に幸せでした。
幼く何も出来なかったあの頃の自分を少しでも救えたような気がします。
生まれ育った広島へ8月6日、
当時現役のアメリカ大統領だったオバマ氏が参列し献花し、演説し、被爆者の肩を抱いた。
それを中継で見ていた僕は祖父が救われたような気がして、世界が変わるような気がした。
でも、それさえもわずかな一歩。
それでもその平和への想いを純粋に受け取って活動をしてくれる歴代高校生平和大使、今の高校生平和大使のみんなの姿がカッコ良過ぎてなりません。
活動を信じて、仲間を信じて、先生を信じて頑張ってね。
僕は高校生平和大使を最大限応援してるし、長崎でこのミュージカル公演が出来る日を
本当に楽しみにしています。
ご来場、ご観劇戴きました皆様、署名活動にご協力下さった皆様、
ありがとうございました。
そして今回共演できた皆様、スタッフの方々、関係者の皆様。
本当にご一緒出来て良かった、ありがとうございました。
如水高校坂田教師こと別所ユージより