少年の目尻に留まる一匹の蝿が時間を止めた路地裏


「Give me money.」「No,I don't have any money.」
just sounds like a candy getting wrong way.


貧富の差 埋める大義はなきにせよ 生める貧富の差は吾のためぞ


生きるとはしがみつくこと 汚くて臭い路地裏 母子の授乳


愛という言葉を知らぬ子が我に飛びつくあいを何と呼ぼうぞ


路地裏を抜ければ空は大げさにわざとらしいほど快晴である


きみは君わたしは私 七色が違いであって差でないように




昼食の行きつけのシマ(ザンビアの主食)屋はマーケットの路地裏にある。汚くて臭くてうるさい、不快指数が相当高い場所へ僕が毎日通う理由は、なんとなくこの国の生々しさを感じられるから。もちろん、おばちゃんの作るシマとおかずの揚げ魚がおいしいことも。

今日はその路地裏で珍しくお金をせがまれた。しつこさに耐え切れず「オレだってお金持ってないんだ!」と口をついて出た、嘘。「それを言っちゃ~いけないよ!」と相手も本音を、ポロリ。

援助慣れしたほうがわるいか、援助慣れさせたほうがわるいか。とにかく彼らからしたら、僕はお金持ち、なんだ。僕がこの国いる意味の矛盾に、たまらず仰いだ空は皮肉のように青くて、広かった。

家路で近所の子どもたちが僕に駆け寄って、「Yuji!」と膝に飛びついてきた。毎度のように思い出す、ぼくは僕であるということ。雨上がりの空に虹がかかっていた。雨季という季節があるザンビアにおいて、それはそう珍しいことではない。

青年海外協力隊(理数科教師)の一生一句~アフリカから一句、詠ませていただきます。~-七色
               七色(混ざらずに、濁らずに。)