今回は放課後ディサービスを提供している二つの事業所から、2名の方が初参加。また、寄宿舎指導員2名も初参加。初めての参加者を含め11名で、皆さんと問題提起をしながら学び合いました。まずは、先日金沢で行われた石川セミナーの講演「障害児・者の豊かな性と生のために~障害者権利条約で何が変わるのか~」伊藤修毅さん(日本福祉大学准教授・障害児・者サークル代表)の内容を杉川さんが報告しました。
とても大事ですので、少し詳しく紹介します。
①2006年に国連で障害者権利条約が採択された。
②日本は2014年1月20日に世界で140番目の批准国となった。
批准を前提として、国内法の(障害者基本法の改訂、障害者自立支援法の名称変更、就学指導システムの変更等)整備が行われた。
③2016年4月1日には障害者差別解消法が施行された。
④日本国憲法第98条第2項には「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」とある。
⑤障害者権利条約第5条には「締結国(日本)は全ての者が、法律の前に又は法律に基づいて平等であり、並びにいかなる差別もなしに法律による平等の保護及び利益を受けることを認める。」とある。
障害者権利条約23条
1 締約国は、他の者との平等を基礎として、婚姻、家族、親子関係及び個人的な関係に係るすべての事項に関し、障害者に対する差別を撤廃するための効果的かつ適当な措置をとる。この措置は次のことを確保することを目的とする。
(a)婚姻をすることのできる年齢の全ての障害者が、両当事者の自由かつ完全な合意に基づいて婚姻をし、かつ、家族を形成する権利を認められること。
(b)障害者が子の数及び出産の間隔を自由にかつ責任をもって決定する権利を認められ、また、障害者が生殖及び家族計画について年齢に適した情報及び教育を享受する権利を認められること。さらに、障害者がこれらの権利を行使することを可能と
するために必要な手段を提供されること。
(c)障害者(児童を含む)が、他の者との平等を基礎として生殖能力を保持すること。
⑥障害者権利条約で「性教育を受ける権利」が確認された。
⑦現実はどうであろうか? 男女交際を禁止する特別支援学校が実に多い。殆どの学校でなにがしかの制約、ルールがある。これは第23条に違反している。
⑧世界性科学会議の「性の権利宣言」2014年の改訂版で「人は誰も、包括的な性教育を受ける権利を有する。包括的な性教育は、年齢に対して適切で、科学的に正しく、文化的能力に相応し、人権、ジェンダーの平等セクシュアリティや快楽に対して肯定的なアプローチをその基礎に置くものでなければならない」としている。
⑨「性の権利宣言」にセクシュアリティが充分に発達するためには、触れ合うことへの欲求、親密さ、情緒的表現、喜び、優しさ、愛など、人間にとって基本的なニーズが満たされる必要があると書かれている。
⑩大切な触れ合いを禁止したりしていませんか? スキンシップが社会的に容認される年齢の内にたっぷりとスキンシップを保障!思春期以降は「ふれあいの文化」を教育的に保障していきましょう!
⑪支援者が性教育を学ぶための本の紹介
・合同出版「イラスト版発達に遅れのある子どもと学ぶ性の話~子どもとマスターする性のしくみ・いのちのたいせつさ」・「暮らしの手帖」・「生活をゆたかにする性教育」これらを参考にして、「学習」のための集団を組織したら、「実践あるのみ!」です!!
⑫性教育のネグレクトの連鎖を断ち切りましょう! 十分な性教育を受けてこなかった「おとな」が次世代に性教育を保障しないことはネグレクトの世代間連鎖。障害者権利条約の時代、この連鎖を断ち切りましょう。まずは、おとなが、タブー視から脱却し、性と生をとことん学び直し、自らのセクシャアリティを確認し、子どもたちのセクシャアリティを正面から受け止めることからはじめませんか!
という理路整然とした分かりやすい講演内容でした。
2ヶ月毎に行っている《ゆいの会》でも、学校で性教育を受けていない、また、施設でも実践していない、そのために様々なことが問題となり、頭を悩まされている支援者の方々が参加されます。
今回の《ゆいの会》は初参加者の方々がおられたので、「支援を必要とする人たちの性と生」と題して、東さんが性教育の基本的な考え方、とらえ方、また、どのような力を育てたいのか?大切にしたいことは?などを話し、最後に一緒に学びましょうと強く訴えました。
毎回参加してくれるA青年は、今回も元気な顔を見せてくれました。私たちも彼の姿を見るとほっとします。彼を見ていると、継続的に性教育を続けている施設に感謝の気持ちで一杯になります。性教育への第1歩がなかなか踏み出せない職場が多い、また、継続していくのが難しい所もある中で、彼の施設は「地域社会の中で生きる」ことをモットーの一つに掲げ、「性のはなし」という学習の時間を保障しています。
障がいを持った人たちが、障がいがあるからと言って差別されずに、一人ひとりが大事にされて、自分らしく豊かに生きていけるために、伊藤修毅さんが言われていた、性を学び「性教育のネグレクトの連鎖を断ち切りましょう!」皆さん、一緒に頑張りましょうね。
今回は長くなりましたが、おつき合いただき、有り難うございました。
次回のゆいの会は8月20日(土)です。たくさんの方の参加をお待ちしています。