風呂から上がると、祖母とおじさんはテレビを見ていた。



昔より、大きくなった音を聞いていると、



2人の笑顔の陰に、そこはかとなく寂しさを感じる。



化粧水を塗って寝支度をする。



ドライヤーを借りるのは客人としてはずうずうしいと思って、



自然乾燥に任せる。



風呂場に置いてあった某シャンプーメーカーのリンスを拝借したのだが、



普段のドライヤーをした時よりサラサラになったのには驚いた。



シリコンが入っていて髪によくないと両親が言うので、自宅では使えない。



数日間の楽しみだと思おう。



サラサラの髪にクシを通しながら、彼らと話をする。



だいぶ酒が回ったようで、



2人は、私にありがたい話、をたくさん聞かせてくれた。



最近の話、俺の、私の過去の話、



色々。



部屋に水割り焼酎の匂いが充満して、



私はだんだん眠くなるのを感じた。



おじさんは話終えると、彼の部屋へ行って眠った。



フラフラとした様子。



普段も足は覚束無いが、酒が入ると少し違ったふらつきに見える。



祖母はまだ話をしている。



聞くと、祖母は、かなり波のある人生を送ってきたようだった。



その中で、



イラッとした人、優しかった人、



悲しかったこと、嬉しかったこと



私に包み隠さず教えてくれた。



何個か驚くような経験もあった。



ただ、ここで書くことは割愛させていただく。



私もそろそろ眠くなってきて、



祖母ももう寝ようかと言う。



ただ一向にベッドには向かわない。



コップを持って深く考え込んでいる、と思うと



寝ている。



これは、酔っている。



ばあちゃん、その体制で寝たら確実に首死ぬよ。



下手に地雷を踏みたくないので



そっと声をかける。



あぁ寝てた、と言う祖母。



寝よー、と言う私。



を……4回した。



5回目でベッドに向かおうと立ち上がる祖母。



起き上がれない。



手を貸したが、どう手を貸せばいいのか分からない。



5回目で立ち上がってベッドに横になった。



内心、「このまま立ち上がれなかったら私どうしよう」



と思ったが、



起き上がれた、眠ってくれる、と心底安心した。



さて、私も寝ることにする。



普段、こんなにも家族と会話をすることがないので



新鮮な気持ちであり、少し、いやだいぶ疲れた。



電気を消して横になった。



枕が思いのほか硬い気がする。



だがここまでお世話になっているのである、



文句は言わない。



あぁ、そういえば、ぬいぐるみを忘れた。



実は私は毎晩ぬいぐるみを抱いていないと眠れないのだ。



初日から忘れ物が多すぎる。



色々おもうところはありながらも、



瞼はゆっくりと現実世界を遮るように



私は夢の中に落ちていった。