“「ゆり、もうすこしやわらかく。こころはかたくなになる。それはしかたないけど、そこをこえないとこころをつつむことはできない。くびのすわらぬ幼子をだくときのように、やさしく」
指差し、振り向くようにしめした。
「魔術はほんとはとてもかんたん。だから顔をこわばらせる必要はない」
姿見の顔を見つめ、あなたはおおきくためいきをはいた。きづかずにいれていた肩のちからを抜き、ゆったりとすわりこむ。魔術とはじつにとてもかんたんなもの。それには理由がある。”
抜粋: : 冠梨惟人. “不透明な薔薇の王冠 上.”
