日本人の平均年収の3.4倍!超高年収
「年収の勝者」の筆頭である総合商社。
三菱商事や三井物産、伊藤忠商事など、直近の年収は大手5社平均で1500万円超
日本人の平均年収の3.4倍!超高年収のカラクリとは?
伊藤忠商事1580万円、三菱商事1559万円、三井物産1549万円――。これは、総合商社の直近(2022年3月期)の平均年収額。さらに丸紅1469万円、住友商事1406万円と続き、5社の平均は1513万円と、民間企業で働く日本人の平均年収である443万円(国税庁の民間給与実態統計調査、21年分)の実に3.4倍に上る。
もともと超高年収で知られる業界だが、最近では資源高がさらなる年収増に一役買っている。だが高収入の理由は、相場動向だけにあるわけではない。
商社が高収益を稼ぎ出すメカニズムについて、大和証券のシニアアナリストは巨額の資産、資金を少数の社員が活用するという、ある意味で“レバレッジ”をかける形で高収益体質を築いていることに特徴があると指摘する
どういうことか。
一般的には企業の資産は大きいほど良いということは、決してない。むしろ、売上高や利益に対して資産が大き過ぎれば、非効率的と評価されることも。
ところが、これを社員数で比べてみると、また違った景色が見えてくる。商社の総資産を従業員数で割った「1人当たり総資産」は他業種と比べるとずばぬけて高い。
実際に子会社の従業員を含めた「連結」ベースで、企業グループとして純利益を稼いでいる。
特に商社では本社主導で多様な投資活動を行う独特の業態ゆえ、好業績の恩恵が本体(単独ベース)の従業員に大きく跳ね返りやすい特性がある。
そこで連結総資産を各社が開示する平均年収の対象者となる本体の従業員数で割った金額で比べてみる。
キーエンス(平均年収2183万円)は、22年3月期ベースの1人当たり総資産が8.9億円だ。キーエンスの場合はメーカーでありながら、生産を外部委託するファブレスの業態で、巨大な製造設備を保有してはいない。だが、製造業の筆頭であるトヨタ自動車でも、同様の方法で算出した1人当たり総資産は9.6億円と大きな差があるわけではない。
一方、伊藤忠では22年3月期ベースの1人当たり総資産が29.1億円、三菱商事では49.9億円にも上る。
つまり「1人の社員が動かせるカネが極端に大きい」ということ。就活生が商社に抱く「ダイナミックな仕事」という側面が数字にも表れている。
それは働きがいにつながるだけではなく、高収益の追い風にもなっている。