相手の性格を知った上で結婚したはず。
そうなんだけどね。
そうなんだけど。
DVのように極端ではなくても、
「こんな性格だったんだ…」とか
「そんな人だとは思わなかった」とかいう場面は普通にあると思う。
それは変わろうとした訳でもないし、本人も無意識の場合もある。
人間って、基本的に人生がうまくいっている時、要するに幸せな時は良い人。
何かが思い通りにならなくなった時、人が変わる。
夫と付き合っている6年間…というか、母親になる以前、私は人を怒鳴ったことなどなかった。
なのに、母親の私はイライラすると子供たちを怒鳴った。
怒鳴っている自分が嫌で、そんなに怒鳴ることはないとも頭では分かってもいた。
だけど「子供が悪い!」としか思えなかった。
それはまるでこの本に出てくるDV夫と同じ。
「俺を怒らせるお前が悪い」というDV夫と同じ。
自分で怒鳴りながら、自分の言葉を聞きながら、これはなんなんだ?と思った。
答えは、私や私の弟を怒鳴っている母。
幼い頃、繰り返し聞いた怒鳴り声を私が発していた。
…「虐待の連鎖」はあると言う。
それはしたくてするのではない。
そうなってしまうのだ。
自分がされたように。
だから「もう2度としない」と謝るのも本心なのだと思う。
だけど、自分を変えることはできない。
逃げても逃げ切れない恐怖。
誰かに助けてもらうどころか、自分の大切なひとまで巻き添えにしてしまう恐怖。
命まで危険にさらされる恐怖。
やっぱり相手に対して同情は無用。
この本の主人公はこの後幸せになれたのだろうか。
また誰かを愛せたのだろうか。