2020年に、ICM(植込み型心臓モニタ)により不整脈を検出、失神の原因が特定でき、リードレスPM手術を行いました。
過去の振り返りです。
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8月の1週目
喉の違和感と詰まりの解決策も見え、一息ついて海のホテルと山の旅館を予約。
従姉に「やっと光が見えた」とメール。
まさにそのタイミングで、家の電話が鳴りました。
直前にかかってきた営業電話かと思ったので、思いっきり不愉快そうな声で出たら、
大学病院の主治医でした。
変な声で出てしまった気恥ずかしさと、
何か良くないことが起こったに違いない、という嫌な予感。
ICM(植込み型心臓モニタ)の手術から2週間ちょっと。
危険な不整脈(3秒以上のpause:心拍停止他、頻脈や徐脈の数値設定あり)を検出した時のみ、自動的に主治医のスマホにメールが飛ぶと聞いています。
私は、たまに胸痛や胸の詰まりはあったけれど、倒れたり、気が遠くなるようなこともなく日常を過ごしていました。
何があったのか。。。
挨拶後にいきなり、
先生 「ゆいさん、不整脈が出ていますね。」
と、言われました。
「え? 危険な不整脈以外は先生にはメールが届かないはずでは?
私、倒れていないですよ。」
と聞けば、
私の知らないところで、危険な不整脈(pause)が出ているらしい。
3秒、5秒、8秒、と頻回に心臓が止まっていると伝えられました。
止まっているなんて、全く身に覚えがないので、
思わず、「機械が壊れているんじゃないですか?」 って言えば、
「不整脈(pause)が出た後に、又正常な波形に戻っているから、壊れているという事はない。」
とキッパリ。
私がボタンを押した記録も残っているので、
「胸の痛みを感じた時に徐脈になっているのではないか。」
と先生は言う。
私も自分の手帳に胸痛の印をつけているので照らし合わせてみると、
確かに、激しい胸の痛みで明け方に目が覚めた日時と、8秒のpauseが一致。
他のpauseは、真夜中で寝ているはずの時間や、
起きている時間帯だけれど自覚がなかったもの。
「えー?」「えー?」と驚ろくしかありません。
私 「本当ですか?」
「本当ですよ。心電図を今、お見せしたいくらいです。
完全房室ブロックです。」
完全房室ブロック?
重い響きです。
薬やカテーテルアブレーションのような方法で改善する手立てもなく、唯一の治療法が永久ペースメーカーの植え込み。
なすすべもなく診断と同時に一発でPMが決まってしまうとは、私にはあまりにショックなこと。
ここが私にとっての『告知』の瞬間だったと思っています。
少しの間があったのか、畳みかけるようだったかは忘れましたが、
「ちょっとこれは、良くない状態なので、本当はすぐにでもペースメーカーを入れてあげたい。危ないです。」
と、ダイレクトにPMのことを言われました。
でも私は、いきなり過ぎてやっぱり受け入れられない。
24時間ホルターの検査では11万拍!/日 もあったし、恒常的な不整脈は全くない。
この2か月、このリストを透明ファイルに入れて不安になった時に抱きしめて(?)、
「大丈夫。」「大丈夫。」と励ましてきた。
ペースメーカーだけは絶対に避けたかったのに。
「いきなり入れるなんて言われても困ります。」とか
「そんな勝手に入れるなんて言わないでください。」
なんて必死に言ったと思うけれど、
もう先生の方針は決まっていたのでしょうね。
「ゆいさん、今50何才ですよね。
お若いんですよ。
この病気になる年齢としては、かなりお若いんです。
めったに、ゆいさんの年齢ではならない。」
「ですから、もしかしたらですが、なにか他の心臓病が原因という可能性もある。
PMを入れる前に、そこをチェックさせてください。」
「検査はできるだけ早くした方がよい。
でも、僕、来週は休診日なんです。
どうしようかな。
あっ、明日、来られますか。」
と、こんな流れに。
突然PMと言われて動揺したけれど、
事前にしっかりと検査をしてもらえるなら一息つけそう。
そうして欲しいと思いました。
で、明日の予定を壁のカレンダーで確かめようとしたけれど、ドキドキし過ぎて今日が一体どこなのかわからない。
思わず、「今日は何曜日?」なんて聞いてしまいました。
先生は笑いながら、「今日は〇曜日ですよ。」って。
「明日行けます。」と返事をすると、
「ではB という医師に申し送りをするので、明日全てBが手続きをしてくれます。
PET/CT、MRI、CT、エコー、
後、一度やってもらったけれど血液検査も更に項目を増やして調べさせてください。
僕の診察は、明日Bが予約を入れてくれます。
検査結果が全て出そろった頃に又お話しましょう。」
こんな感じだったと思います。
何か生活で気を付けることは?、と聞けば、
「車も自転車も乗っちゃダメ。
できれば階段も使って欲しくない。」
又、私の知らないところで医者と家族が話すのはイヤだったので、
私 「これは家族には連絡がいかないですよね。
全て私ですよね。」 と、念を押すと、
「ゆいさんの場合は、ご自分でよく理解していらっしゃると思うので、そうしましょ。」
と言ってもらいました。
家族には私の口から話すことにしました。
思いっきりイヤ~な声で電話に出てしまった非礼を詫びると、
「あ、いやいや、皆さん、そうですよ。
最初は恐る恐る出ますよ。」 と、笑っていました。
最後のご挨拶
私 「直々のお電話、痛みいります。」
痛み入ります?
使ったことがないわ、こんな言葉。
前の晩に見た時代劇風ドラマのフレーズが、マンマ出てしまいました。
不意打ちのような電話だったけれど、
その場で聞くべきことは聞いたし、言いたいことも言えて、
切った後に、
「あれも聞きたかった、これも言いたかった。」というような事がなかったので良かったです。
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電話を切った後に、
大変なことになってしまった、
ああ、これで旅行は終わってしまったな、
って数十分前の華やいだ気分から一転、どん底につき落とされました。
まさか、PM手術前に海も山も2つも行けちゃうとは、
この時は思ってもいませんでした。