私の好きな故事成語に老子の「足るを知る」という言葉があります。
中学校か高校の国語の教科書に出ていた言葉で、習った当時ははっきり言って良く意味が分からない言葉でした。
学校で習ったのは、「今の自分自身の身分相応に満足できる人」や「既に十分満足できる人」という意味です。
「自分が置かれている状況に満足できる人が素晴らしい人である」というような意味で考えていました。
ずっとそういうふうに思っていたのですが、どうやら少し違うことに気付いたのが最近です。
教科書に出て来たのが漢文の問題として掲載されていた記憶があります。
全文が知りたくなってインターネットで検索して、やっと本来の意味を知ることが出来ました。
続きの文も含めると単純なものではなく、すごく意味深い言葉だということが分かります。
「足るを知る」の箇所だけでも、「足るを知る者は富み、強めて行なう者は志有り。」と続きがありました。
「満足する事を知っている人が本当に豊かな人間だと言え、努力を続ける人はそれだけで目的を果たしていると言える。」と意味です。
全体的に見ると生き方の心得のような、教えのようなニュアンスが強いものだと私は思いました。
最後に「死」と「生」という概念にまで話が及んでいるので、宗教的な言葉に近いのかなとも思っています。
仏教でも同じような言葉が多くあるので、人生について考えると同じような所に行きつくのも面白いです。
何事も程々にということなんでしょう。