ヘアカットの日 | 前略 息子様

前略 息子様

愚父から息子に宛てた、ただの日記でございます。

くもり


カット中は美容師さんと話す?

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長年坊主頭の人はバリカン持ってる率高め。


坊主頭の人はちょこちょこ刈るわけよ。

中途半端に伸びると変なクセ出てくるからね、1ヶ月とか放置しないのよ。

それを毎回床屋で刈ってたら安いとこ通ったとて出費が馬鹿にならん。

自分で刈った方が断然コスパがいいのだ。

バリカン代などすぐ元取れちゃう。


そんな父さんでももちろん美容院に行ってたときはある。

この話し前に書いたかどうか覚えてねえんだが、自分が覚えてねえんだからお前も覚えてねえだろってことで、気にせず書くと、父さんが美容院デビューしたのは高校生のとき。それまでは近所の床屋でカットしてた。

幼少期から通ってた床屋さんには申し訳ないが、オシャレに目覚める年頃になると、床屋ではなく美容院に行くようになるのだ。


当時の友人に連れてかれて駅前の美容院に行く。

当時は男は床屋、女性は美容院っつう概念から男も美容院に行くのが当たり前になりつつある頃合いで、正直美容院に行くのに少々躊躇いがあった。


初めて行く美容院。

父さんはそもそも人見知り。

緊張感がハンパなかった。

美容師さんは女性が多い時代で、当然のように女性の美容師さんが現れ、さらに緊張。どんな髪型にしますかと聞かれても自分でもよくわからん。

普段床屋さんにオーダーしてたような「いつもよりちょっと短めで。」

など通用しない。

父さんのいつもなんて相手は知らんのだ。

優しい美容師さんは

「こういうとこ初めてなんですか?」

って、風俗嬢のような(失礼)ご挨拶から始まり、細かく聞いてきてくれた。

後ろはどれくらい?横は?前髪は?

に一応答えながらカットは進んでいく。

一通りカットが終わると、合わせ鏡で後ろはどうかと確認してくるのは床屋も美容師も同じなのだが、思ったよか短くなっててもそこはもうどうすることもできないのである。

「あ、大丈夫です。」


しばらくその美容院に通ってたんだけど、あるとき担当の美容師さんが休みで、

「今日担当が休みなんですよ。」

って言われ、

「別に誰でもいいです。」

って、他の美容師さんにカットしてもらったときがあった。

カットが終わったとき、

「次は担当のいるときにしてくださいね。」

って言われ、その言い方がちょいと嫌な感じだったのよね。なんか迷惑そうな。


で、やめた。

担当がいるかどうかなんか知らんわ。

がっちり予約制でもなかったから、毎回気の向いたときに行ってたし。


さて、じゃ、どうしたもんかって困ってな。

また違う美容院に行くと、当然また初めましてからになる。一から全部オーダーしなきゃならん。

と困ってたら、お母さんが「わたしの通ってる美容院いいわよ。」って薦めてくれて、今考えれば母親と同じ美容院に通う男ってどうなのって感じだけど、そんなこと別に気にしてなかったから行ってみた。


そこは夫婦で営んでいる小さな美容院。

たまに娘ちゃんが小学校から「ただいまー。」って帰ってきたりして、温かい雰囲気の美容院。

旦那さんは当時人気のあったバレーボール選手、熊田によく似ていて、奥さんは浜田麻里に似ている美男美女夫婦なのだ。

その頃はまだ浜田麻里にハマる前なので、ただ綺麗な人だなーくらいにしか思ってなかった。


その美容院には数年通い続けたのだが、父さん一家が引越したこともあって、通うのをやめた。


さて、そのあと。

そのあとどこ通ってたのか覚えてないんだよな。

おそらく転々としてて、ある年齢とともに床屋に戻ったんだよね。

もう美容院行くような歳でもねえだろって男は床屋に帰るのだ。

いい歳したおっさんが美容院でカットしてるの見たことねえだろ。自分が行ってねえから知らんけど。


床屋は前かがみで洗髪されるんだよな。美容院は仰向け。

「かゆいところはございませんか?」

って聞かれるじゃん。

あれピンポイントでここがかゆいって伝えられる人っているか?

あの質問いらんよな。

どっちみち伝えるの無理だから。