公開年:2022年
上映時間:123分
監督:深田晃司
出演:木村文乃、永山絢斗、砂田アトム、山崎紘菜、嶋田鉄太、三戸なつめ、神野三鈴、田口トモロヲ 他
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監督は『淵に立つ』でカンヌ国際映画祭ある視点部門の審査員賞を受賞するなど、国際的に高い評価を得ている深田晃司。第79回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。
では、『LOVE LIFE』の感想、いってみましょう。
★4.0
ちょっとした問題を抱えながらも幸せに過ごすある家族がまさかの出来事に襲われ、その出来事がきっかけとなり日常が変化していく…という物語。
淡々と描かれてはいるんだけど、内容はなかなかヘビーでした。良く言えば自分の気持ちに正直な人たちの物語。悪く言うと自分勝手な人たちの物語。
言いたいことがあってもこれは言っちゃいけないなとか、こうしたいんだけどこれをやっちゃいけないなとか、自分の本心とか欲求を理性で抑えたりするわけじゃないですか、人って。でも本作に登場する人たちは、抑えきれずにポロッと本音を言ったり思いのままに行動しちゃったりするんです。
本作に登場するキャラクターに誰一人として感情移入できないし、むしろ胸糞悪さしえ感じたりする。でもその気持ちは理解できなくもないと思ってしまう自分もいて。胸糞悪いんだけどちょっと理解できちゃうという、自分の中の黒い部分が炙り出される感じが居心地悪くて最高でした。
序盤に出てくる妙子(木村文乃)の義父母のセリフがめちゃくちゃパンチが効いていてキツかったです。義父(田口トモロヲ)感じ悪いな、とか思ってたら実は義母(神野三鈴)の方がタチが悪かったという。悪気はないんだけどグサッとくるひと言を言っちゃう人っているじゃないですか。それ。この映画の方向性を示すようなゾッとするシーンでした。
妙子の旦那(永山絢斗)もタチが悪い。悪気はないんだけど良からぬ行動をとっちゃう人っているじゃないですか。それ。悪くない奴なんだけど(むしろいい奴)やってることはクロ。地震の後、妙子に電話をかけてきたシーンは引きました。ドン引き。
で、本作唯一の正義だと思われた妙子でさえ最後にはあんな行動を起こしちゃうんだもの。ダメな人をほっとけない人っているじゃないですか。それ。悪気はないんだけど…って、実は似たもの夫婦なのかもしれないですね。そもそもすでに、旦那に対する愛は冷めていた可能性はあるけど。
終盤、雨の中で見せる妙子の表情。羨望、卑下、希望、絶望…いろいろ読みとれる表情。出色でしたよ、木村文乃さん。最高。好き。
残念だったのは、人生を一変させるようなある人間の退場の悲しみが、物語が進むにつれて薄まってしまったところ。この悲しみからどうやって再生していくのか、その辺が描かれていなかったので(描かれていたのかもしれないけど伝わってこなかった)、何となく物語がボヤけてしまったような気がしました。こんなことなら退場する必要性はなかったような。
映画のオープニングではなく、最後の最後に出てきた『LOVE LIFE』っていう文字タイトル。これは『素晴らしき世界』と同じ手法(タイミング)だったんだけど、完全に皮肉を込めたタイトルなんでしょうね。『素晴らしき世界』は決して素晴らしい世界には感じられなかったし、本作だってLOVEなLIFEが描かれているとは到底思えなかったです。
本作のLOVEって、自分に向けられたLOVEなのかもしれないですね。本作で言いたかったことは、自己愛というか、何があっても自分を肯定して自分を愛して生きていきなさいよ、ってことなのかな。
派手さはないけどいろいろと考えさせられて、個人的には好きなタイプの映画でした。
おしまい。
