公開年:2021年
上映時間:138分
監督:アダム・マッケイ
出演:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、ロブ・モーガン、ジョナ・ヒル、マーク・ライランス、タイラー・ペリー、ティモシー・シャラメ 他
いつもワタクシの駄文を読んでいただきありがとうございます。感謝ですm(_ _)m
監督は『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(アカデミー脚色賞を受賞)のアダム・マッケイ。主演は『レヴェナント 蘇がえりし者』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のレオナルド・ディカプリオ、『アメリカン・ハッスル』『レッド・スパロー』のジェニファー・ローレンス。
作品の評判が良い上に、おじさんになったレオナルド・ディカプリオ(昔のディカプリオより今のディカプリオが断然好き)が主演ということで、そりゃあ、観るでしょ。
では、『ドント・ルック・アップ』の感想、いってみましょう。
★3.8
巨大な彗星が地球に衝突する可能性があることを発見した天文学者とその教え子が、世界中の人々に警告を発するもののうまく伝わらず、いよいよ地球が、人類がピンチに…という物語。
都合の悪いことは見て見ぬふりをしてやり過ごそうとする人間の愚かさが皮肉たっぷりに描かれていてですね、笑えない話なんだけど笑ってしまうという、かなり見応えのあるSFコメディでした。
まず、おもしろかったのは政治家たちの描き方。その筋の専門家が警告しているのにそんなことには耳を貸さずに、自分のこと(支持率とか利益とか)ばかり考えている政治家たちの描き方が妙にリアルで秀逸でした。
特に専門家がはじき出した〈巨大な彗星が地球に衝突する確率〉を聞いた政治家たちが適当に数字を下げて(改ざんして)国民に発表しようとするくだりはバカらしくて笑えました。90%?70%?じゃあ間をとって80%で、みたいな。セール品の割引率を決めてるんじゃないんだよ(笑)。
こんないい加減なことをする政治家なんているわけないじゃん!と否定したいけどできないこの悲しさよ。公文書を改ざんしちゃう某国の政府なら同じことをやりかねないなと、そう思うと笑えないよなぁなんて思ったり。
政治家って選挙のことしか考えてないし、平気で嘘をつくし、とても国民第一で行動しているようには見えなかったりする(個人的には、ですが)。本作を見る限り、アメリカでも日本でも、政治家って同じような見え方をしているのかもしれないですね。やれやれ。
あとは、政治家だけじゃなくて国民のことも皮肉ってるというフェアなところも良かったです。
ミンディ(レオナルド・ディカプリオ)とケイト(ジェニファー・ローレンス)がニュース番組に出演して、地球のピンチを真剣に訴えているにもかかわらずまともに取り合わないアホなキャスターや、そんなキャスターに苛立って感情的になってしまったケイトをSNS上でバカにする輩の存在。そんな奴らに限って自分がピンチになったらいちばんテンパってバダバタするんですよね。現実を直視できてないんですよ。直視しようとしてないんですよ。現実から目を背けているんですよ。
都合の悪い真実を見て見ぬふりをするのは政治家だけじゃなくて、国民も同じだったりするんですよね(もちろん僕も含まれています)。
政治家も政治家だけど国民も国民でどうしようもないな、と(もちろん僕も含まれています)。
そうそう、編集もおもしろかったんですよ。セリフの途中で突然シーンが切り替わって最後までセリフが言えないという、テレビのバラエティー番組とかでよく見かける編集方法が用いられていて笑いを誘ってくるんです。爆笑じゃないんだけどじんわりと効いてくるんですよね。数回あったなぁ、そんなシーンが(主にディカプリオが被害を受けていたような 笑)。
ちょっとした遊び心だと思うんですけど、アダム・マッケイ監督の笑いのセンスを感じました。アメリカのバラエティー番組でも多用される手法なんですかね。
キャスト的にはもうね、レオナルド・ディカプリオが最高。ダサかっこいい中年男を演じさせたら右に出る者がいないんじゃないかと思えるくらいに抜群。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の演技が僕の中では史上最高のディカプリオでしたが、それに匹敵するくらいに素晴らしかったです。
ディカプリオの他に、地球に接近する巨大彗星を発見して苦悩する大学院生を演じたジェニファー・ローレンス(一見チャラそうだけど真面目なのがよかった)や、支持率しか頭にないアメリカ大統領を演じたメリル・ストリープ(最後にすげぇ体を張っていた)も存在感抜群でよかったです。が、それ以上に、IT企業の社長を演じたマーク・ライランスが出色。都合の悪いことが起きても平気な顔をして嘘をつくし、常に淡々としている顔つきというか表情が変態的でゾッとしました。ヤバくなったらシレッとその場からいなくなる感じとか最高でしたよ。
地球や人類がピンチになったところで、僕ら国民は何もできないし、僕ら国民は権力者たちに命運を握られているという現実を突きつけられた感じがしました。笑えない話なんだけど笑ってしまうという、コメディとはいえなかなか重みのある作品でした。
そして、映画タイトルのネーミングセンスの素晴らしさですよ。巨大な彗星が地球に衝突するかもしれないというのに『ドント・ルック・アップ(=見上げるな)』ですからね。都合が悪いことは見なけりゃいいじゃんってこと。この作品名が内容のすべてを物語っているし、そして全人類を皮肉っているというね。センス抜群。
いやぁ、秀逸。タイトルも内容も秀逸。アカデミー作品賞、獲れるかなぁ(無理だろうなぁ)。
おしまい。
