今日のNHKスペシャル「うつ病治療 常識が変わる」,面白かったです。いや,面白いという言葉は不謹慎か。

前の仕事で日常的に何人かのうつ病患者と付き合いがあった私としては,自分も立場上,彼らや彼女らが病気の状態から抜け出せればいいなと思っていたし,そのために何かできることはないかをよく考えていたものです。

同時に,そんな自分だっていつそうなるかわからない,そうならないためにはどうしたらいいのか,ということも日頃から考えていたわけです。

その後現在の仕事の莫大なストレスからマジで半分うつ病になりかけたわけですが,そのときの経験や思考が役立ったというか,ああ,あの人たちが「病気」になったのは,こういう状態から来るんだ,と納得したり,そこで踏みとどまるためにはどうしたらいいか考えたりと,図らずも自分を実験台に自分の理論を実践していたことに,この番組を見て気づきました。

例えが乱暴ですが,人間が昔裸足で地面を歩いていたときと,人間の体のつくりはその頃と今でほとんど変わっていないのに,今の地面はとても裸足で歩いて安全とはいえない。精神も同じで,今の社会は人間が無防備な心のままで安穏と暮らせるものではない。うまく守れなければ傷つき病んでしまうのは無理もないのではないでしょうか。

生き物の怪我や病気は自然治癒が基本であるように,人間の精神も同じだと思います。まず自分で自分の精神を健康に保つべきだとして,それが追いつかないときは他人の力を借りる。そこにはさまざまな段階があってしかるべきで,病気=薬という単純な図式は,怪我=手術,みたいなもので,全然おかしいわけです。

私は医者でも専門家でもないのですが,かなり深い領域での実体験から,番組は興味深く観させていただいた次第です。たぶんあちこちから文句が来そうですが,こういう番組を作って放送した関係者に敬意を表したいと思います。そういうテレビ番組も最近めっきり減りましたが。