前回はアメリカのロースクールの概要を、とっても大雑把に書いてみました。
では日本で法学士を取得した人が進学できる、JDとLL.M.の違いはなんでしょうか?
【内容】
JD: 期間は3年間。アメリカでの最初の法学に関する学位ですから、基礎からみっちりと法学の知識を身につけて、将来法曹として活動するための準備をします。講義型の授業だけでなく、模擬裁判やClinics(臨床講義)を通して実践的な力を養う授業が多いのも特徴です。またアメリカのほぼ全ての州において、JDを有することが弁護士資格試験受験の際の要件になっています(下記(注)参照)。
LL.M.: 期間は1年間。JDやLL.B.(法学士)を取得後すぐに進学する人(つまり私のような人)は少なく、一度社会人経験を積んだ人が、専門分野での力を高めたり箔を付けるために再び学びに戻る場所、という意味合いが強いです。またニューヨーク州とカリフォルニア州の弁護士資格試験は、JDを持たずとも、LL.M.を有していれば受験が認められています。
(注)アメリカは州ごとに法律が異なるため、弁護士資格試験(Bar Examination)も州ごとに行われます。
【受験/出願】
共通: 2つに共通しているのは、受験は基本的に書類審査であるということ。履歴書・志望理由書・大学以上の教育機関での成績・推薦状・TOEFL(英語による教育機関を卒業していない人のみ)
相違点: 1番大きな違いは、JDへの出願に際しては「LSAT」という試験を受験し、そのスコア提出が求められます。LL.M.出願ではLSAT受験の必要はなく、LSATに相当する試験もありません。LSATは法律に関する知識を問うものではなく、日本の法科大学院受験の際の適性試験に似て、論理的思考力を測るものです。問題はそこまで難しいというわけではないのですが、とにかく試験時間の割に問題量が多く、アメリカ人でも相当量の練習が必要なようです。
【まとめ】
色々と書いてきましたが、1番の大きな違いは、アメリカ国内で法曹(特に弁護士)として活動するときには、基本的にJDを持っていないと活躍の場が広がらない、ということです。もちろんLL.M.だけでも弁護士資格を取得することはできますし、活動をしていくことはできますが、「でも結局LL.M.しか持っていないからね…」と受け取られることが多いということです。
この事情から、私も当初はJDへの進学を希望していました。しかし決断時期が遅かったこと(3年生の冬)、大学での授業や卒論に加えて、TOEFLとLSATの両方へ対応することの難しさ、LL.M.からJDへ編入するという道もあること(受け皿は小さいですが…)を考慮して、LL.M.を受験することを決心しました。
ちなみに、ロースクールでの授業自体は、JDとLL.M.の学生が一緒に行っている学校もあれば、全く別のカリキュラムを組んでいるところもあり、様々です。
大体このようなところでしょうか。
JDへ行くのか、LL.M.へ行くのか…ロースクール卒業後にどのような活動・仕事をしていきたいかにもよって決断は変わってくると思いますが、私にとってはそこまで含めてしっかり考える、良い機会だったように思います。
*_*_*_*_*_Yui Anne_*_*_*_*_*
では日本で法学士を取得した人が進学できる、JDとLL.M.の違いはなんでしょうか?
【内容】
JD: 期間は3年間。アメリカでの最初の法学に関する学位ですから、基礎からみっちりと法学の知識を身につけて、将来法曹として活動するための準備をします。講義型の授業だけでなく、模擬裁判やClinics(臨床講義)を通して実践的な力を養う授業が多いのも特徴です。またアメリカのほぼ全ての州において、JDを有することが弁護士資格試験受験の際の要件になっています(下記(注)参照)。
LL.M.: 期間は1年間。JDやLL.B.(法学士)を取得後すぐに進学する人(つまり私のような人)は少なく、一度社会人経験を積んだ人が、専門分野での力を高めたり箔を付けるために再び学びに戻る場所、という意味合いが強いです。またニューヨーク州とカリフォルニア州の弁護士資格試験は、JDを持たずとも、LL.M.を有していれば受験が認められています。
(注)アメリカは州ごとに法律が異なるため、弁護士資格試験(Bar Examination)も州ごとに行われます。
【受験/出願】
共通: 2つに共通しているのは、受験は基本的に書類審査であるということ。履歴書・志望理由書・大学以上の教育機関での成績・推薦状・TOEFL(英語による教育機関を卒業していない人のみ)
相違点: 1番大きな違いは、JDへの出願に際しては「LSAT」という試験を受験し、そのスコア提出が求められます。LL.M.出願ではLSAT受験の必要はなく、LSATに相当する試験もありません。LSATは法律に関する知識を問うものではなく、日本の法科大学院受験の際の適性試験に似て、論理的思考力を測るものです。問題はそこまで難しいというわけではないのですが、とにかく試験時間の割に問題量が多く、アメリカ人でも相当量の練習が必要なようです。
【まとめ】
色々と書いてきましたが、1番の大きな違いは、アメリカ国内で法曹(特に弁護士)として活動するときには、基本的にJDを持っていないと活躍の場が広がらない、ということです。もちろんLL.M.だけでも弁護士資格を取得することはできますし、活動をしていくことはできますが、「でも結局LL.M.しか持っていないからね…」と受け取られることが多いということです。
この事情から、私も当初はJDへの進学を希望していました。しかし決断時期が遅かったこと(3年生の冬)、大学での授業や卒論に加えて、TOEFLとLSATの両方へ対応することの難しさ、LL.M.からJDへ編入するという道もあること(受け皿は小さいですが…)を考慮して、LL.M.を受験することを決心しました。
ちなみに、ロースクールでの授業自体は、JDとLL.M.の学生が一緒に行っている学校もあれば、全く別のカリキュラムを組んでいるところもあり、様々です。
大体このようなところでしょうか。
JDへ行くのか、LL.M.へ行くのか…ロースクール卒業後にどのような活動・仕事をしていきたいかにもよって決断は変わってくると思いますが、私にとってはそこまで含めてしっかり考える、良い機会だったように思います。
*_*_*_*_*_Yui Anne_*_*_*_*_*