皆さん、こんにちは。
ミドサーで4年ほど前にカナダへCoop留学に来て、今はバンクーバーで暮らしているゆりです。ここで出会ったパートナーのハミくんと、もうすぐカナダで初めての出産を迎えます。
日本での出産でさえ不安なのに、「初めて」しかも「海外」となると、何から手をつけたらいいのか分からず不安が何倍にも膨らみました。
それでも、全体の流れさえ分かっていれば、「次に何が起きるか」が見えてきて、少し心が落ち着きます。
この記事では、私がバンクーバーで実際に経験している「妊娠発覚〜出産直前までの大まかな流れ」を、時系列で紹介します。
不妊治療中の方、高齢出産、妊娠糖尿病、持病がある方などは、この流れにプラスで検査や診察が増えることもありますが、ここでは「大きなトラブルがないケースの標準的な一例」として読んでいただければ嬉しいです。
妊娠発覚:検査薬とパートナーの本音
出発点は、日本と同じく妊娠検査薬でした。
妊活を始めて、生理が遅れているなと感じたタイミングで、London Drugs や Shoppers などのドラッグストアで検査薬を購入し、自宅で検査しました。
結果は陽性。はっきりと妊娠反応が出ました。
ここで少し、私たちカップルの背景を。
実は「子どもを持つかどうか」について、私とハミくんは意見が分かれていて、妊活を始める前にかなりたくさんの話し合いとすり合わせが必要でした。
私は検査薬の陽性反応を見て素直に嬉しかったのですが、結果を見たハミくんは、まるで絶望したかのような真剣な顔でソファーから動かなくなり、しばらく無言のまま。
他の人の妊娠報告動画には、二人で飛び跳ねて喜んだり涙ぐんだり…というシーンが多いので、「なんでうちは全然嬉しそうじゃないんだろう」と、正直かなり落ち込みました。
後から聞くと、彼なりに「自分がしっかりしないと」「家族を守らなきゃ」というプレッシャーと戦っていたようです。
このテーマだけで記事が作れてしまいそうなので、詳しい話はまた別の機会に。
ここからは、妊娠が分かってからの医療的な流れに戻ります。
カナダで妊娠したら最初にすること:病院とLifelab
妊娠検査薬で陽性が出たら、次は医療機関探しです。
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すでにファミリードクター(かかりつけ医)がいる人
→ そのドクターに予約を取る -
いない人
→ ウォークインクリニックを受診してもOK
どちらに行っても、最初に言われることはほぼ同じで、
「血液検査と尿検査に行ってきてください」という指示です。
ここで日本と大きく違うのが、検査の場所。
カナダでは、診察したクリニック内で血液や尿の検査を行うのではなく、Lifelab という検査専門の機関に自分で行く必要があります。
流れとしては、
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ドクターが血液・尿検査をオーダー
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自分で Lifelab に予約を入れて行く
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検査結果はドクターに直接送られる
という形です。
BC州では、妊娠に関する診察やLifelabでの検査は、基本的にMSP(公的医療保険)でカバーされるため、自己負担はありません。
私もFamily Doctorを通して検査オーダーを出してもらい、Lifelabで血液・尿検査を受け、正式に妊娠が確認されました。
その後、妊娠8〜12週の間で初回のウルトラサウンド(エコー)を予約してねと言われます。
このエコーも自分で予約。
私は11週で受け、初めて赤ちゃんの心音を聞くという感動の瞬間を経験しました。エコー写真ももらえます。
このエコーの情報はドクターに送られ、
胎児の大きさから、正確な妊娠週数と出産予定日が告げられます。
出生前診断の選択:SIPSとNIPT
初回エコーが終わる頃、カナダでは**出生前診断(Prenatal Screening)**についての説明があります。
受けるかどうかは自分たちで決めますが、選択肢は大きく2つ。
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SIPS(Serum Integrated Prenatal Screening):政府提供で無料
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NIPT(Non-Invasive Prenatal Testing):民間の検査で有料(約550〜745ドル)
SIPS(無料のスクリーニング)
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妊娠9〜13週:1回目の採血
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妊娠15〜20週:2回目の採血
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2回目から約10日後に結果
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正確性はおよそ80%
もしSIPSで陽性と判断された場合には、紹介状を持ってNIPTを無料で受けることができます。
NIPT(有料だが高精度)
一方NIPTは、
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妊娠9〜10週以降から受けられる
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採血は1回で終了
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正確性は約99%
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結果は10日前後
といった特徴があります。
SIPSは無料ですが、結果が分かるのは早くても妊娠4か月ごろ。
結果次第では妊娠継続について悩む可能性もあり、カナダでは日本のような「中絶可能な週数がきっちり決まっている」形ではないものの、精神的な負担は大きいと感じました。
私たちは「高齢出産」ということもあり、できるだけ早く結果を知っておきたかったので、13週でNIPTを自費で受けることにしました。
15〜22週:産科クリニック、2回目エコー、そしてミッドワイフへ
15週の診察では、
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NIPTの結果
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産科クリニックへの紹介状
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妊娠18〜22週の間に行う2回目エコーの予約案内
を受けました。
初めて産科クリニックで診察を受けたのは18週、妊娠4か月を少し過ぎた頃。
このとき、妊娠に関する説明資料をひととおりもらい、カナダの出産のシステムも少しずつ見えてきます。
産科での診察は、だいたいどこもこんな感じです。
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血圧・体重測定
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問診
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子宮底長の測定
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赤ちゃんの心音チェック
心音に異常がある、子宮底長が基準と大きく違うなどがあれば、赤ちゃんの大きさや羊水量を確認するため、追加のエコーが入る場合もあります。
ドクター診察からミッドワイフへ切り替えた理由
私が通っていた産科クリニックは、担当ドクターが毎回違うシステムでした。
診察自体は5〜10分程度でサクッと終わります。
複数のドクターに見てもらえる安心感もある一方、毎回自己紹介から始めて自分の不安を伝えるのが、個人的にはだんだん負担になってきました。
そこで途中から、ミッドワイフ(助産師)にケアを切り替えることにしました。
同じミッドワイフさんに毎回診てもらえること、じっくり話を聞いてもらえることが、私にはすごく合っていました。
診察内容はドクターとほぼ同じですが、診察時間を少し長めに取ってくれたり、質問しやすい雰囲気だったり、関係がより近い印象です。
18〜22週:40分かけて行う詳細エコー
妊娠18〜22週に行う2回目のウルトラサウンドは、妊娠中で一番しっかりしたチェックです。
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所要時間は約40分
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胎盤の位置
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骨の長さ
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指が5本あるか
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内臓の状態 など
細かいところまで見てくれます。
私はNIPTですでに性別を知っていましたが、知らない人はこのタイミングで性別が分かることもあります。
ただし、エコー技師さんは診断や性別を口頭で伝えてはいけない決まりになっているため、その場で「男の子・女の子」とは教えてくれません。知りたい場合は、次の診察でドクターやミッドワイフに確認します。
問題がなければ、この2回目のエコーが妊娠中最後のエコーになることが多いです。
妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、胎動の減少などがあれば、その都度追加のエコーが行われます。
私は37週で「もしかしたら逆子かも?」と言われ、3回目のエコーを受けましたが、結果はちゃんと頭が下になっていて一安心でした。
24〜28週:妊娠糖尿病のグルコーステスト
妊娠24〜28週ごろには、**妊娠糖尿病のスクリーニング検査(グルコーステスト)**を受けるように案内されます。
妊娠中はホルモンの影響でインスリンが効きにくくなり、血糖値が上がりやすくなるため、妊娠糖尿病になる人も少なくありません。
最初の検査では、
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糖分50gの甘いグルコースドリンクを飲む
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1時間待合室で待機
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その後採血し、血糖値の上がり方を確認
という流れです。
ここで基準値を超えると、2回目の詳細なグルコーステストへ。
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8時間以上絶食
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75gのブドウ糖を飲む
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空腹時・1時間後・2時間後に採血
この検査でも基準値を超えた場合、妊娠糖尿病と診断され、食事療法や運動指導が始まります。
私は26週で1回目のグルコーステストを無事パスしたものの、そのときの血液検査で重度の貧血が見つかりました。
そこからは出産まで鉄剤の補給を続け、応急的に鉄分の点滴(IV)も受けることになり、今も毎月1回Lifelabで採血をしています。
27〜32週:Tdapワクチン(百日咳・ジフテリア・破傷風)
妊娠27〜32週ごろになると、**Tdap(3種混合ワクチン)**の接種をすすめられます。
これは、赤ちゃんがまだワクチンを打てない生後数か月の間に、百日咳・ジフテリア・破傷風を防ぐことを目的としたワクチンです。
日本ではまだTdapが未承認であることもあり、正直悩みましたが、MSPでカバーされていること、過去の実績やエビデンスも集まっていると説明を受け、私は接種することにしました。
32〜36週:RSVワクチン
32〜36週ごろには、RSVワクチンについても案内されます。
RSVは乳児の呼吸器感染の大きな原因で、母体がワクチンを受けることで、赤ちゃんに抗体を渡し、重症化をある程度防ぐことが期待されています。
ただし、
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比較的新しいワクチンであること
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MSPではカバーされないこと
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自費でおよそ260カナダドル
などを聞き、私は今回は見送る判断をしました。
時期によっては、インフルエンザワクチンや新型コロナワクチンは、希望すれば無料で受けることができます。
36〜37週:GBS検査
妊娠終盤、36〜37週ごろに受けるのが**GBS検査(B群溶血性連鎖球菌)**です。
GBSは、
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皮膚・膣・腸内にいる常在菌
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10〜15%の人が保菌している
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ふだんは症状もなく、害もない
という菌ですが、新生児が感染すると、髄膜炎や敗血症といった重い感染症を起こすことが知られています。
カナダでは、
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検査キットを渡される
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自分で膣と直腸を綿棒でこする(自己採取)
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その検体をLifelabに持っていく
というスタイルでした。
日本だと健診のときに医師が行うことが多いので、「自分でやるんだ!」と少し驚きました。
結果が陽性の場合は、分娩時に抗生物質を投与し、赤ちゃんの早期発症感染(肺炎・敗血症など)を予防します。
36週以降:毎週の診察と、37週からの準備
36週を過ぎると、診察は毎週1回になります。
赤ちゃんの位置、子宮底長、心音などを確認しながら、陣痛が来るのを待つ時期です。
37週以降は「正期産」と呼ばれ、いつ産まれてもいい状態。
このタイミングで、母乳育児にスムーズに移行できるよう、胸のマッサージをするように指導されました。
マッサージ中に、少し黄色がかったトロっとした初乳が出てきたら、それをシリンジで採取して冷凍しておき、入院時に持参すると良いと説明を受けました。
そのためのシリンジも支給されます。
おわりに:英語が苦手でも、流れを知れば少し安心できる
ここまでが、私がバンクーバーで経験している妊娠発覚から出産直前までの大まかな流れです。
日本と比べると、
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検診の頻度や予約方法
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Lifelabのような検査機関を自分で予約して行くこと
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ドクターとミッドワイフの選択肢があること
など、戸惑うポイントはたくさんありますが、一度「全体のロードマップ」が見えると、
「今はこのステップだから、次はあの検査だな」「この週数でこういう説明があるんだな」と心構えができるようになります。
特に英語が得意ではない人ほど、事前に流れを押さえておくことが、英語理解の助けにもなると感じました。
これから海外で出産を迎える方にとって、少しでも不安が軽くなるヒントになれば嬉しいです。
皆さんの出産が、安全で、なるべく穏やかな体験になりますように![]()