神戸文化支援基金などでもお世話になっているギャラリー島田さんの画廊通信3月号に寄稿する機会をいただきました。
『この時代とこども』というテーマで、音遊びの会のことを紹介しています。
短いですが是非!是非読んで〜
想像すること、歩み寄ること
森 真由
私たち『音遊びの会』は、知的障害のある人たちとミュージシャン・アーティストが、自由に音楽を楽しんでいる団体です。2005年に結成して活動を続け、早18年が過ぎました。
結成当初、障害のある参加者のほとんどが学生で幼く、『自由に』という言葉以上に自由で、音楽をするということ自体も理解できていない子が多くを占めていました。一方ミュージシャン側は、それまであまり接点のなかった子ども達を前に、どうしたら一緒に音楽を共有できるか、どうしたら自分たちのことを受け入れてもらえるか、試行錯誤していました。
社会では、2007年に特別支援教育が始まり、2013年には障害者差別解消法が制定されています。この法律は、障害の有無にかかわらず互いに人格と個性を尊重し合い、共に生きる社会を目指すと明記されていて、障害児・者に合理的配慮をすることが義務付けされました。
音遊びの会のミュージシャン達がこの18年、障害のあるメンバーにどう接し、どう対応してきたのかというと、基本的には全てにおいて対等です。おそらくミュージシャン達は、障害の種類や福祉制度、法律、条令等にはあまり興味がなく、個々の性格や表現を尊重して、ただ音の場を楽しんでいます。もちろん特性による困りごとには自然と対処していますが、それを負担と感じている人はいません。
昨年、国連は日本の特別支援教育の中止を勧告しています。分離教育には賛否ありますが、
音遊びの会のメンバーが築きあげてきた経緯をみてきた限りでは、机上の知識よりも実際に側で寄り添うことの経験が何よりも大事だと感じています。
音遊びの会はこれからも、一人ひとりの表現を大切に、地域社会に根付いた活動をしていきたいと思っています。