以前福島の鉄砲が信夫伊達の自生種であるブナで造られている事がわかったが今回はさらにケヤキで造られた台木をたまたま見つけた。


ケヤキやニレは神木とされ日本では大変重宝されてきたやや硬めの木材であるが、火縄銃の台木といえば樫と言う通説からどうも見落とされてきた様に感じる。


日本の家や建具は基本が地産地消でその地域に有る材木を使ってきた事は建築の世界では一般的な話である。またその地域に生える植物を使う事が自然との繋がりを持ち日本らしい共生の世界を作り出していた。


今回出てきた写真はオクラホマのアーサー君がこの台木についてどう思うかと言う質問で送られてきた。台木の造りは高品質なものではない事からおそらく地方の鉄砲鍛冶に台師兼業の建具師や大工が製作したものだろう。こう言う場合おそらく大工が材木を選定して杢目などにこだわって作っているだろうと考える。



側面にケヤキの美しい木目ば出る様に切り出しているところを見るとその製造過程が目に浮かぶ。

問題は木目が側面に出ると言うことはこの台木は板目が側面方向に出る様に切られている。本来は柾目で切っている場合木目は台木の台株分に少し出てくるだけだ。

板目は美しい模様を呈するが台木の構造上かるかアナを開けて筒台を削り出すため強度に不安が出るがお城お抱えの鉄砲ではないため強度にはそこまでこだわっていない可能性がある。しかし台師の工夫も見える。真鍮象嵌を用いで横方向に割れるのを防ぐ加工がある。下記の写真は花菱の象嵌を巻いて台木の割れを防ぐ狙いがある様だ。受けた注文を何とか成し遂げようとした様だがどうも不慣れさが台木の仕上げに見える。






材木の特性表を見るとシラカシに軍配があるがブナとケヤキは意外にもほぼ同等な性能を発揮している。カキが曲げ特性が弱いのでもし強う衝撃があれば割れやすいのだろう。