謹んで新年のお慶び申し上げます。昨年は年末にかけて火縄銃復元に多大なるご協力を頂戴し心より御礼申し上げます。本年はさらなる研究と復元の完成に向け邁進してまいりますので宜しくお願い致します。
さて、正月の三賀日もあっという間におわり、仕事始めの4日。カナダという所は文化や伝統を大事にする事が割合尊重されていて、私自身大晦日から正月の三日間はお休みをさせていただいた。毎年何等かの書初めをしているが、今年はまだ筆不精で墨をすっていない。謹賀新年の文字はぺんてる太字筆ペンでささっと書いたものだ恥ずかしい限り。
先日紹介した分銅紋の仙台筒の続きである。分銅紋の仙台筒といっても正確には四匁筒の事で、意匠は伊勢守流を継承したものだ。詳しい解説はTodou455さんのブログに掲載されているのでご参考にしていただきたい。
今回は分銅紋の仙台筒と我が家の葡萄栗鼠の仙台筒の比較考察だ。上の写真を見ていただけるとお判りいただけるかと思うが、二つの銃床は台株あたりの意匠はほぼ同じで寸法まで誤差の範囲で同じものだ。違いはカラクリの長さ、湾曲の角度、そして引金の位置だ。分銅紋は引金がやや手前についており、葡萄栗鼠は5ミリほど先についている。胴金から台株までの長さは同じで、火縄通しの穴は同じ位置にある。木材は両方とも樫だが、葡萄栗鼠はRift Sawn・正目材の外側を用いており、分銅紋はQuarter Sawn・柾目材の内側を用いている。この材木の部位の差で分銅紋はより独特な木目が出るのに対し、葡萄栗鼠は真っすぐの柾目が出ているだけだ。
この二挺を比較してすぐにわかるのはその台木の太さの違いだ。葡萄栗鼠は太めの銃身を用いてるため火縄通しの穴付近より肩が盛り上がったように高くなっているのに対し、分銅紋は滑らかに丸みを帯びた細長い造りになっている。
葡萄栗鼠は胴金が欠落しているため直接の比較ができないが、アルミ箔でそのサイズの比較をした画像が上のものだ。葡萄栗鼠が左、分銅紋が右である。横幅、縦長ともに葡萄栗鼠が一回り大きい。
次にカラクリの比較であるが、地板の形状は大きく違う。葡萄栗鼠は湾曲がより曲線的であるが、分銅紋は蟹目より手前は直線的なデザインになっている。しかし、大変興味深いのが分銅紋の火バサミをそのまま葡萄栗鼠の地板に装着したところなんと寸法が全く同じ様に蛭クワエの爪と火バサミが合致した。
葡萄栗鼠には松葉バネがあったであろう位置にタールの装着痕がのこっているのだが、それも全く一致している。大変珍しいと米国の友人ゲーツさんは言う。というのも日本全国の火縄銃でここまで寸法が同じ銃は無いというのだ。推測される要因は二つだ。一つは、仙台筒が標準寸法化されていた。もう一つが、ここにある仙台筒の二挺が同じところで生産されていた可能性だ。
分銅紋の仙台筒の考察へ続く。







