ニュースを見ながら無言の食事の時間が過ぎていく。

私は何を食べても、食べ物の味さえわからない程、”無”であった。

 

「涼、謙!」

父が兄と弟の名前を呼んだ。

「何?」「親父どうした?」と兄弟は返事をした。

 

「今夜、お前らはあっち(アパートは3棟あった。)で寝ろ。この前、掃除したから眠れるだろう。布団はこっちから持って行け。」

…嫌な予感がした。

きっと私が”話さなければ”何も始まらないとでも、父は思ったのだろうか?

真意は私だってわからない。

 

「ゆのっ!!」

父の声が大きかった。怒鳴られたかのように感じた。

「はい…。」

俯いたままで父の顔が見られない。

元々、厳しい父親ではあったが、兄や弟よりは私を可愛がってくれているのは痛い程わかっていた。

だからこそ、いったい何があったのかを聞きたかったんだろう。

 

「飯が終わったら、みんな順番に風呂に入れ。…そして、ゆのは今夜は話があるからな。いいな?」

「…はい…。」

 

私は何をどう話せば良かったんだろう?

この時の会話は未だに脳裏に焼き付いている。

上手く伝えられなかった気がする。

もっともっと、別の伝え方があったんじゃないか?と今になって後悔している。

 

父や母にとっては目に入れても痛くない存在だったんだろう。

だけれど、私はいつも心の中で叫んでいた。

 

「お父さん、お母さん、出来の悪い娘で…心配ばかりかけて…本当にごめんなさい。」と…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どくしゃになってね!