「うたびと」のインタビュー記事より

――では、もし1週間丸々休むことができたら何をしますか。

行けるならどこか海外に行って、ボケっとするとか、日本だったらやっぱり温泉にいくとかでしょうか。海外は、アメリカは高校時代にホームステイで行っただけでよく知らないので、今ならヨーロッパがいいですね。ウィーンのような音楽の都を巡ることに憧れがあります。でも、1週間休みがあったら、本当は能登に駆けつけなければいけないと思っています。人より体力があるわけじゃないので、足手まといになってはいけませんが。

――今後の目標をお聞きします。来年はデビュー20周年の記念年ですが、そこに向けて何か計画していることはありますか。

今年はツアーも3か所だけですので、来年はもう少しいろいろな場所に行けるようにしたいです。そのためにも、今年1年は「金沢望郷歌」をしっかり歌って、20周年記念曲につなげられればと思っています。今、日本音楽著作家連合というところで、僕が歌う歌の歌詞を募集する「新作歌謡作品コンクール」というものをやっていまして、そこで選ばれた曲が20周年記念曲になります。皆さんに楽しんでいただけるような曲ができることを期待しています。

――松原さんはこれまでに21枚のCDをリリースされて、その中には歌謡曲あり、演歌あり、フォークソングありと、いろんなタイプの曲を歌ってこられました。20周年を越えて、そこから先はどんな歌を歌っていきたいと考えていますか。

自分の中で歌いやすい曲、得意な分野の曲というのはありますが、でもそれが必ずしもお客さまが求めているものとは限りませんし、あまり明確には考えていません。ただ、松原健之らしい歌と考えると、ドロドロした愛の歌より親子愛であったり師弟愛であったりというような歌の方が合っているかなとは思います。マラソンの伴奏者ではありませんが、僕の歌は頑張っている人、辛い思いをしている人に寄り添って、一緒に走っていく歌でありたいし、そういう歌い手であり続けたいと思います。そしていつの日にか、(美空)ひばりさんの「川の流れのように」のような、人生を歌った曲を歌える歌手になれればいいですね。

――奇跡のクリスタルボイスと言われた松原さんの声は、今でも聴く人の気持ちを癒してくれていると思います。

デビュー前は歌手としてもっと個性が必要だ、声を潰してきなさいなんて言われたこともありましたが、結果的には、あまり色がついていないこの声質がかえってよかったのかもしれません。いろんな先生方が描かれる歌の世界を、変に脚色することなく聴いてくださる方に手渡すことができるという意味では、これで間違いではなかったのかなとは思っています。

――では最後に新曲、「金沢望郷歌2024」を改めてファンの方にPRしてください。

ファンの皆さんにはご存じの歌になりますが、今の僕の声でレコーディングした新作を、デビュー当時の声と聞き比べて楽しんでいただくのもいいと思います。また初めて聴く方は地震で大変な思いをしている能登の方に思いを馳せて聴いていただければ嬉しいです。五木先生の言葉をお借りすれば“旅情歌”であり、また抒情歌でもあるこの歌を歌いながら、「能登の皆さん、頑張っていますよ、ぜひ力を貸してください」という気持ちを多くの方に伝えられればと思います。小さな力かもしれませんが能登の復興に繋がってほしいと願いながら歌っていきますので、皆様どうぞ、よろしくお願いいたします。


………………おわり