「うたびと」のインタビュー記事より

――ミュージックビデオも楽しみです。どんな映像作品になったか教えてください。

デビューの時にオール金沢ロケで撮影したミュージックビデオの映像をスクリーンに映して、それを眺めながら当時を回想しているというストーリー仕立てになりました。19年前の映像と一緒に歌っているシーンもあるなど、監督さんがいろいろと考えて作ってくださって見ごたえのあるものになったと思います。その映像を収めたDVD付のCDも同時に発売になります。

――カップリングの『あなたに逢いたい』ですが、この曲は書き下ろしですか。

この曲は1981年に八代亜紀さんが出された曲で、実は五木寛之先生と弦哲也先生が初めてタッグを組まれた曲でもあるんです。ただ、八代さんの数あるヒット曲の中では地味な存在で、全曲集などを見てもほとんど入っていない。映像を探しても、晩年に弦先生のギターでワンコーラス歌った時の映像くらいしか出てこない曲です。今回『金沢望郷歌』が五木先生、弦先生の曲ということもあり、両先生の曲を歌い継ぎたいという思いも込めて、カップリングでは『あなたに逢いたい』を歌いたいと僕から提案して実現しました。

――松原さんは八代さんが歌われたこの曲をご存じだったのですね。

もちろん知っていましたし、レコードも持っています。実は以前、歌番組で八代さんとこの曲を歌う機会があったのですが、打ち合わせの段階で予定が変更になり、実現しませんでした。いつかぜひ一緒に歌わせていただきたいと思っていたのですが、それが叶わないうちにお亡くなりになってしまって。なので、八代さんへの追悼という意味も込めさせていただきました。

――9月から10月にかけては「松原健之コンサートツアー2024」が行われます。今回は神戸、東京、金沢の3か所ですが、コンサートの構成や選曲は進んでいますか。

今、ちょうど音楽監督の塩入俊哉さんと、構成を考えているところです。ピアノの塩入さん、バイオリンの徳永希和子さんを交えてのステージは前回同様ですが、去年とはまた違った聴かせ方、見せ方ができればと思っています。松原健之らしく、そして初めて来てくださった方も楽しんでいただけるような内容になればいいなと思っています。

――コンサートの他にもライブをたくさんされていますね。

もう少しカジュアルに僕の歌を聴いていただこうという趣旨で、「松原健之トーク&ライブ2024」というライブをやっています。場所もなるべくコンサートで行ったことのない土地を回って、ライブハウスのようなコンパクトな会場でギターの弾き語りとトークを楽しんでいただいています。僕、コンサートなんかでもけっこうベラベラとしゃべることがあって、「ちょっとトークが長いよ」なんてファンから叱られることがあるのですが、それを逆手にとって「トーク&ライブ」にしてしまえば、しゃべり過ぎても叱られないなっていうことでやっています(笑)。

――コンサートやライブで直接、お客さんと触れ合うのは楽しいのではないですか。

ライブは生ものですからやってみないと分からないという怖さはあるのですが、それでもお客さんと一緒にライブ空間を作る、そしてお客さんの体温を感じる楽しさは、ライブならではのものがあります。以前、歌いながら会場の後ろの方までいってお客さんと握手した時、それをすごく喜んでくださった方がいて、こういうことでも嬉しいと感じてくださるんだなぁと思ったことがありました。テレビでしか見ることができない、東京まで応援に行けないという方もいらっしゃいますので、大きな都市だけじゃなく、なるべく全国津々浦々まで回りたいですね。

――松原さんは、『松原健之 歌をあなたに』(STVラジオ)、『松原健之こころの旅』(ラジオ関西)、『松原健之とBitter & Sweetの音茶メロらじお♪』(全国9ネット)とラジオ番組を持っていらっしゃいますが、トークがお得意ですし、やっていて楽しいのではないですか。

いや、決して得意なわけじゃなくて、ただ取り留めもなく話しているだけです。ラジオでも話を振られた時にすぐに返せなかったり、いただいたメールやはがきに通り一遍のコメントしかできなかったりで、もっと内容のある話をしなくてはいけないと今、反省しているところです。

――ところで、これまでの松原さんのプロフィールを見ると、趣味は温泉めぐりや卓球を上げていますが、今ハマっていることといえば何ですか。

卓球くらいですね。中学、高校で卓球をやっていたものですから。少し前、山口ひろみさんに誘われて、伍代夏子さんの美魔女演歌卓球部という卓球同好会の練習に参加したことがありました。
他に石原詢子さんや大石まどかさん、多岐川舞子さんなんかが集まっていて、確かに1~2時間は卓球するんですけど、あの同好会は、その後の打ち上げの方が長いんです(笑)。その日は僕と山口さんがゲストでしたから、いっぱい接待していただきました。

――楽しそうな同好会ですね。

その後も何回か誘っていただいて、前回は千昌夫さんがゲストでした。千さん、なんと60年ぶりに卓球をやったとおっしゃっていましたが、シェイクハンドでお上手でしたよ。お話をうかがうと、「昔はみんなペンホルダーだったけど、俺は人と違うことやるのが好きだったし、目立ちたいからシェイクハンドでやっていた」とおっしゃっていました(笑)。

――じゃあ、卓球は今も時々やられているんですね。

そうですね、伍代さんたちに誘われるようになったこともあるので、練習するようになりました。この間も久々に時間ができたので、プロの選手に1時間くらいみっちり相手をしていただきました。


……………③へ続く