☆☆ニコニコYUGAオペラカイエ★

       大和悠河が5分で語るオペラの真髄☆☆


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第21章 【スターとアーティスト】 

2014年10月19日



毎回、皆様にオペラの楽しさをお伝えしているニコニコ悠河オペラカイエ。

大和悠河が5分で語るオペラの真髄の時間です。


前回は、カルメンとロキシーのお話をしましたが、

今回はスターっていったいなんだろう?ということを、

オペラとロキシー、そしてブロードウェイミュージカルを通して考えてみました。


「《殺人、貪欲、堕落、暴力、搾取、不倫、裏切り》 いずれも皆さんが大好きなものばかり。」

というセリフで始まる『シカゴ』の世界。 

聞いた瞬間、えっ?と思うかもしれませんね。


ロキシーは、人間の本質がつまったようなこの七つの世界で

スターになることを目指していきます。

ロキシーには、自分を愛してくれる、

平凡でうだつのあがらない自動車修理工のだんなさんがいます。 

でも、元々、有名になりたい、スターになりたいという気持ちを持っていたロクシーは、

平和で退屈な毎日には飽き足らなくて、浮気をしていて、

そして、その浮気相手が自分を捨てたと分かったら、迷わず相手を殺してしまいます。 


その瞬間に、ロキシーの自我が目覚めて、ロキシーがロキシーとして生き始めるんです。


捕まって、刑務所に入ってからのロキシーは、人間が大好きなこの七つの世界で、手段を選ばずに上を目指して上っていこうとします。

ロキシーは頂点を極めたかったんですね。

その思いこそがロキシーで、自分の心にとにかく素直でピュアなんです。

とんでもない女といえば、とんでもない女なんですが、それでいながら恐ろしくキュートで魅力的。


そんなロキシーは、スターというのは、頂点までのぼりつめてこそのものだということをよく知っています。 


頂点を極めて輝くことがスター。 

それがずっと続くものでないとしても、ロキシーはそこを目指して迷わずに突き進んでいくんです。 

頂点を極めたかったロキシー。

スターになりたいという強い気持ちを持っていた、それがロキシー。 


ところで、実在のスター、マリアカラスはどうでしょう。 

マリアカラスといえば、オペラの代名詞といってもいい存在で、

オペラ界でスターといえば、例えばマリアカラスや、ドミンゴ、ホセ・カレーラス、パバロッティなどの名前があがると思うんですが、彼らはスターであると同時にアーティストなんですね。 


頂点を極めて輝くことの根底にゆるぎない芸術がある。 

ミュージカルが芸術ではないのかといえば、そういうことではないのですが、根本的に違うものがある。

その違いはなんなのか、言葉にするのはとても難しいですが、形が似ているようでいながら全然違う。


  


ミュージカルもすごい、ミュージカルスターももちろんすごい。 

でも、もし電気がなくっても、セットや演出が何もなくっても、

そこにオペラ歌手がいて、劇場にたって歌いさえすれば、オペラになる。 

それができるオペラのプリマドンナ、それがマリアカラスなんですね。


スターでありながら、それ以前にアーティストなんです。

どちらがいいとか、上とかいうことではなく、オペラというのは、そういうものなんだと、改めて思いました。