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第20章 【カルメン】 2014年10月5日

前回は、ヴェルディの『椿姫』をとりあげて
シカゴのロキシーとからめてお話しました。

今回は、【大和悠河のオペラとお菓子の旅】の中で、
椿姫の次にとりあげている
「カルメン」でいきたいと思います。 
                                           →オペラ本 p.20-p.21

オペラのカルメンは、ビゼーの作曲によるもので、 
1875年3月3日 
パリのオペラ・コミック座で初演されました。
 
フランス語のオペラです。 
メリメの小説「カルメン」が原作で、
舞台は1820年頃のスペイン、セビリア。
ストーリーははすごく有名で
いろいろな舞台になっていますから、
皆さんよくご存知と思います。

カルメンはジプシーの女で自由奔放。
自分の気持ちや恋心に忠実という意味では純粋だけれど、
決して貞淑ではないし、一途な愛を貫くのでもなくて、
男を翻弄する悪女といってもいいかもしれません。

ホセやエスカミリオの心をもてあそぶようなことになっても、
あくまでも自分の感情に正直に行動するという、
自分中心の女で、
オペラではメゾソプラノの歌手が歌う役どころです。
さっき、始まりの時にかかったのが
マリアカラスが歌ったハバネラですが、
マリアカラスは意外にも
舞台では一度もカルメンをやっていないんです。
舞台で見たらどんなカルメンだったのかな~と
想像がふくらみます。

そして、ロキシーはどうでしょうか。
 「《殺人、貪欲、堕落、暴力、搾取、不倫、裏切り》
 いずれも皆さんが大好きなものばかり。」
というセリフで始まる『シカゴ』は、
人間の本当の姿を隠さずにドラマにした物語で、 
ロキシーは、愛よりも、
「有名になりたい!のしあがっていきたい!」
という気持ちに正直に生きています。

現実の世界でも、
たとえばテレビをつければ
日常茶飯事のように殺人事件や、
考えられないような事件が目や耳にとびこんできます。

実際に身近におこってはいなくても、
チャンネルを合わせれば、
そこには平凡な幸せのすぐそばに
殺しや不倫があったりする。

地位や名声を求めて、
大なり小なり誰もが持っている欲望が見えてきます。

カルメンは、ホセに殺されてしまいますが、
ロキシーは自分が相手を殺しちゃうんですよね。
殺されるんじゃなくて、殺しちゃうんです、ロキシー。 

異様で理解を越えていると思うような事件でも、
そこには何か理由があるかもしれない。 
そこに人間の本質が潜んでいるかもしれなくて、
だからこそ非現実の中にリアルなものが見えてきます。 

不倫相手の男が自分を裏切ったから殺してしまう。 
あまりにもストレートだけれど、
人間の感情を追求していくと、
そこに芸術があるんですね。
清くも正しくもないけれど、美しい。 
そして美もまた芸術です。 
ロキシーは芸術そのものの存在のように思えます。