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       大和悠河が5分で語るオペラの真髄☆☆

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第15章 【サムソンとダリラ】 2014年7月21日

今回は、「サムソンとダリラ」という、
旧約聖書を題材にしたオペラのお話から、
オペラと声のことについてお話しして、
オペラの真髄に迫りたいと思います。

「サムソンとダリラ」というオペラを
、皆さんご存知ですか?
大和悠河のオペラとお菓子の旅の本、
54ページと55ページでも紹介していますが、
旧約聖書の物語をオペラにしたもので、
サンサーンスが作曲をしています。

全曲の初演は1877年、
ヴァイマルの宮廷歌劇場でドイツ語で上演されましたが、
フランス初演は1890年、その後オペラ座でも上演され、
今ではフランス語版がオリジナルとされています。

この「サムソンとダリラ」は、
メゾソプラノが主人公という、ちょっと珍しいオペラです。
女声・・・女の人の声には、
ご存知のようにソプラノとメゾソプラノがありますが、
本質的にメゾソプラノの声を持った人、
メゾソプラノの歌手はとても少なくて、
また、メゾソプラノが主人公になっている作品
というのも多くはありません。

メゾソプラノはどういう声なのかというと、
ソプラノのように清らかで清純だったり、
高貴なイメージだったりするのではなくて、
男を惑わしたり、翻弄したりする
悪女を表現するのにふさわしいような声なんですね。

「サムソンとダリラ」のダリラも、
最高のルックスを持つ官能的な素晴らしい美女で、
サムソンを誘惑し、秘密を聞き出そうとします。 
 
男を惑わすという点では
カルメンと似ているところもありますがが、
カルメンは、あくまでも自分の愛に正直です。

でも、ダリラには愛はありません。 
神に仕えて、命令を果たすのがダリラの役目。 
サムソンを誘惑するのがミッションなんです。 
愛のない主人公というのも珍しいですね。

そんな男を翻弄する悪い女には
低音のメゾソプラノがぴったりです。

そもそも、オペラというのは、
その人の持つ声で表現される芸術で、
その声の持つ意味というのは、
どんな音域が出せるのかということだけではないんです。
その人が本来持つ声のあり方で、感情や意味が表現され、
鍛えられた声で意味を伝える、それがオペラなんです。

マリア・カラスはそういう意味でも天才で、
そして偉大なスターでもありました。
稀にみるすばらしいソプラノ歌手でありながら、
たとえば
カルメンやダリラなどもこなして表現しきってしまう。
この上もない感動で客席を虜にする、
そういう声を持ったプリマドンナでした。

その声で歌うことが、その役を演じることにつながる。

オペラは、まず声でできていて、
そこにオーケストラ、美術、照明、すべてが加わって、
舞台芸術の頂点ともいえる作品が息づくんです。

ストレートプレイもミュージカルも含めて、
舞台の真髄はここにあるんじゃないかと思います。
声は、オペラの真髄のひとつ、
舞台芸術の基本なんですね。


オペラの真髄、オペラの声についてお話しました。 
「サムソンとダリラ」の有名なアリア
【あなたの声に心も開く】
今日のテーマにピッタリのアリアです。 
皆さんも、
どこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。