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第9章 【コジ・ファン・トゥッテ】 2014年4月12日


前回はヴェルディの『オテロ』について語りました。
妻のデズデモーナは浮気などしていない貞淑な女性なのに、
イアーゴにだまされて浮気をしていると思い込み、
嫉妬に苦しんだ挙げ句に
妻を殺して自分も死んでしまうという究極の悲劇でした。

今日取り上げるのは、モーツァルトの『コジ・ファン・トゥッテ』

「フィガロの結婚」「魔笛」「ドン・ジョバンニ」と並んで
モーツァルトの4大オペラとされています。

日本語では『女はみんなこうしたもの』 
というタイトルがついていて、
人の心の移ろいやすさが描かれている喜劇です。 
正式なタイトルはもう少し長くて、

「女はみんなこうしたもの、または恋人達の学校」

もともとは、『フィガロの結婚』の中にでてくる台詞で、
これをもとにオペラを作るようにと皇帝に頼まれて、
モーツァルトが書いた作品と言われています。
 
1790年1月、ウィーンで初演.。 
フランスに革命の嵐が吹き荒れている頃です。
 
物語の舞台は、18世紀当時のナポリです。

登場人物 フィオルディリージ(ナポリの貴婦人)
     ドラベッラ    (フィオルディリージの妹)
     フェルランド   (ドラベッラの恋人)
     グリエルモ    (フィオルディリージの恋人)
     ドン・アルフォンソ  (哲学者)

姉妹の恋人である二人の男は、
自分の相手は浮気なんかするはずないよ!
と純粋に信じています。
それを試すためにお互いの相手を口説いたら、
なんと二人とも心変わりをしてしまった・・・

というお話なのですが、自分の恋人の貞節さを信じている男達に、
「いやいや、人間なら女でもふとした心のうつろいはあるもの」と、
哲学者のドン・アルフォンソさんが
しかけていくことから始まっています。

恋人の心変わりを見せつけられた男達は、
もちろんショックで怒ってしまうのですが、
ドン・アルフォンソさんは「女はみんなこうしたものさ」と
男達をなぐさめます。 

最後には、種明かしをされ、姉妹もビックリ大慌てです。 
結局、心変わりした姉妹も、だますようなことをした男たちも
皆で謝って許し合って誰も死んだりしないで明るくおしまい。 
恋愛のお勉強をしましたね、というストーリーです。

オテロのデズデモーナと同じく、
このフィオルディリージとドラベッラの姉妹も
とても貞淑な女性で、恋人と幸せに過ごしている中で、
別に浮ついた気持ちなど全然持っていなかったんです。
幸せな恋人達をそのままにしておけばよいものを、
ドン・アルフォンソがしかけて、
いらぬ感情をわきおこさせてしまいます。
姉妹は初めは全然相手にしていなかったんですが、
いつのまにか心変わりしてしまって、
これは浮気というより本気といったほうがいいくらい、
純粋な気持ちといってもいいかもしれませんね。

モーツァルトは、女性への願望として、
真実の愛に一途であってほしい、と思っている一方で
「ドン・ジョバンニ」のように、
女を口説き落とすことに興味があるけれど
女に惚れてしまうことがないという男を描いたりもしています。 

女性には一途であってほしいんだけれど、
でも女だって心変わりすることがある。。。。
という物語を通して、
男の側からの言い訳をしているようなところもありますね。

フィガロの結婚、そしてコジファントゥッテ、
もちろん他の作品もそうなのですが、
恋愛を音楽で語り尽くす
モーツァルトの素晴らしさがいっぱいにつまったオペラです。 
美しい音楽でつづられた愛のレッスンの物語。
本当に素晴らしいオペラです.