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第7章 【道化師】 2014年3月8日

『売らいでか!』公演中は、男の浮気にスポットをあててきましたが、
今回はその逆バージョンです。
妻の浮気に心が乱れ、悲しい結末を迎える物語。 
オペラ 『道化師』 パリアッチをとりあげます。

レオンカヴァッロが自分で台本も書いて作曲した作品で、
1892年ミラノで初演。
以前とりあげた、マスカーニの《カバレリア・ルスティカーナ》と並ぶ、
ヴェリズモ・オペラの代表作で、
イタリア庶民の愛情や喜怒哀楽を、
ストレートにスリリングに描き出しています。

この二つ、《カバレリア・ルスティカーナ》と《パリアッチ》は、
2本立てで一緒に上演されることが多い作品です。

《カバレリア・ルスティカーナ》では、
妻の浮気に激怒した夫は相手の男性を殺してしまいますが、
《パリアッチ》でも、妻の浮気に苦しみ嫉妬した夫が、
浮気相手の男性を殺し、さらに妻の命さえも奪ってしまいます。

《パリアッチ》では、
特に妻の浮気に苦しむ男の姿、浮気された男の嫉妬や感情が
強く描かれているのですが、
どちらの作品でも、男はついに相手を殺すところまでいっちゃう。 
男っていうのは、いつも女の浮気にビクビクしているんですね。 

例えば、《蝶々夫人》や《フィガロの結婚》では、
男に浮気された女性は結局相手を許したり、
そうでなければ自分が死んでしまうという結末でした。

男と女の違いと簡単には言えないですが、男の嫉妬は本当にこわいですね。

オペラは、感情の表現の原点なんです。
恋をすると、初めの頃は喜びがいっぱいですが、
その時間はとても短くて、
その後の恋の苦しみの時間はとても長い。
だから、オペラには恋の苦しみや嘆きを描いたものが多いんです。

《パリアッチ》にも、すばらしいアリアがあります。
浮気する妻のネッダは、もともと孤児で、
カニオにみそめられて結婚します。
ところが夫はとても嫉妬深くて、束縛するタイプだったんですね。 
もううんざりしています。
そこで自由だった少女の頃を思い出して
「鳥のように自由に生きたい」と歌い上げるのが【鳥の歌】
とても華やかなアリアです。

そして、夫のカニオが、妻の浮気を知った後に歌う
有名なアリア【衣装をつけろ】

役者のカニオが道化師の衣装をつけて化粧をしながら、
自分の苦しみを嘆き、それでも衣装をつけて笑うんだ!と歌います。  
仮面の下の自分に苦しみながら、仮面を捨てられないカニオの、
とても心に響く歌です。

『道化師』は究極の悲劇。 

現実と芝居が重なりあって
最後には本当に悲しい終わりを迎えるオペラです。
嫉妬や浮気は本当に悲しくてこわいものですが、
恋に苦しみ、愛に嘆くオペラの世界は奥が深いですね。